『百万遍 古都恋情』 花村萬月

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 逃げ出すように東京を出た主人公・惟朔は急行銀河52号に乗って京都に行った。ということで今度は京都での生活が始まるわけだが、奔放で執着なのない惟朔だから仕事しないわ、人に依存するわ。そのくせ人から依存されるのを極端に嫌う。文中に『隔靴掻痒』という言葉が良く出てくるが、どうやら直接触れられるよりも刺激的でいいらしい。依存しない、執着しないということが美徳と言っているわけではないが、作者が意識している部分が見え隠れてしていた。
 『私の庭』から『百万遍』とここしばらくは花村萬月を読んできたが、自己を見つめ直すにはいい本だと思う。何気なく生活しているが、これらを読むとまた違った生活観が味わえるようになると思う。花村萬月というとエロイイメージがあるが、それだけではないよ。

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