中間管理職の悲喜こもごもを描いた短編小説。表題の『マドンナ』は新しく配属されてきた女性に主人公の課長が恋をしてしまう話。ありがちな話なのかもしれないが、奥田英朗氏が書くとまどろっこしいというか気恥ずかしいというか、映像になったらくすぐったくて目を覆ってしまいたくなるようなシーンが沢山出てくる。
『ダンス』では、会社の行事には参加しない、課内の法則には従わないという同僚を何とか会社の行事に参加させようと努力するが自由な同僚はそれを拒む。また、息子は大学には進学せずにバイトをしながらダンサーを夢見ている。大学に行って、一流企業に勤めて出生街道のレールに乗っている主人公からするとこの二人が何を考えているのか分からない。息子の事で妻と言い争いをして言われたひと言が記憶に残っているので書き留めておいた。
「冒険しない人間は冒険者が憎い、自由を選択しなかった人間は自由が憎い」
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