手に汗握る経済小説『バイアウト』

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 「私が腐りきったこの国に復讐して差し上げます」いつか日本を買収すると豪語する天才買収者・鷲津政彦が、あの巨大企業をターゲットに定めた。大銀行トップ、企業再生のプロ、外資系投資銀行、カリスマ経営者…激烈な買収戦争で最後に笑うのは誰か?

 企業買収と言えば誰もが知っているライブドア事件があるが、あの事件のおかげでこのような企業買収を中心とした小説も面白く読めるようになった。ま、突っ込んだことは知らない(企業買収に潜む何かを)で読んだがこれが予想外に面白い。上巻は下巻への伏線みたいな感じなので退屈なところもあるが、下巻はスケールが徐々に大きくなり、一気に話の展開が速くなってのめり込むように読んでしまった。文中に何度も「会社とは誰のものか」という言葉が出てくるが、これは作者の思いであると同時に読者への投げかけではないかと思う。
 今朝のニュースで明星食品がアメリカの投資ファンドから敵対的TOBを仕掛けられているのを受けて、日清食品に支援を要請して友好的な対抗TOBを実施することを知ったが、この本を読んでいたおかげでより身近に感じることが出来た。日本の企業は自社の株式に対してガードが甘いように感じるのでこれからこの手のニュースが多くなるような気がする。


 そもそもこの本を読もうと思ったきっかけは本書の帯に書かれているこの2人の感想を見てしまったから。
  田原総一朗氏(ジャーナリスト)
 「ずば抜けたスケールと緻密な取材で築かれた真山仁の驚異のバトルロワイヤルに耽溺した」
  佐山展生氏(一橋大学大学院教授)
 「M&Aのプロが読んでも引き込まれる、臨場感あふれる物語である」

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