『ウルトラ・ダラー』 手嶋龍一

BOOK
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ウルトラ・ダラー
ウルトラ・ダラー

posted with amazlet on 07.01.18
手嶋 龍一
新潮社
売り上げランキング: 307

 さすが海外が長かった手嶋龍一氏だけあっていい材料をそろえているね。過去に遡って北の偽ドル札製造の為に日本人技術者が拉致されたとか、アジア太平洋州局長が拉致問題に深く関わっているとか。主人公がイギリス人で表の顔はBBCの特派員だが裏の顔は諜報部員。いいとこのぼんぼんで浮世絵に詳しく、篠笛を習っているとか。まあ、いい材料をふんだんに使っているし、道具も揃っているけど料理人が折り返し地点で疲れて収拾がつかなくなって、落としどころがやっつけ仕事になってしまったのは残念。
 ベンチャー企業の偽札検知器を作った会社の社長が競走馬のオーナーで、サンデーサイレンス×ベガ産駒を持っていてその馬が天皇賞秋を勝ち、香港ジョッキークラブカップに招待されるあたりは競馬をやっている人なら面白く読めそうだが、残念なのが馬名がサイレントギャラクシーと言って11文字なんだよね。JRAの規定では馬名は9文字だから、9文字以内におさめてくれたら“さすが”と唸ったのに。
 物語としては面白いけど小説家ではないからつっこみどころ満載で「あれれ?」と思ってしまうところはあるけど、ベストセラーですから。

コメント

  1. 「ウルトラ・ダラー」を読む

    NHK前ワシントン支局長の手嶋龍一(てじまりゅういち)氏が2005年独立し外交ジャナリスト・作家に転進した
    表題は2006年3月に発行された同氏の作品で北…