iDeCoは、受け取りを始めたら全部現金になるものだと思っていました。
ところが、SBI証券で「年金方式」を選ぶ場合は少し違います。70歳で全額を解約するのではなく、老齢給付金の受給を始め、まだ受け取っていない資産はiDeCo口座の中で運用を続けます。
そこで、僕が考えているモデルケースを数字にしてみました。
- 65歳から公的年金を受け取る
- 70歳からiDeCoを年金方式で受け取る
- 受取期間は10年
- 受取回数は年6回、合計60回
- 70歳時点のiDeCo残高は2,400万円を目標にする
この形なら、税引前で年間240万円に近い受け取りになるのか。そこが今回いちばん知りたかったところです。
年6回を10年間なら、全部で60回
SBI証券の分割年金は、受給期間を5年・10年・15年・20年から、年間の支給回数を1回・2回・4回・6回から選びます。年6回が最大なので、毎月ではなく、おおむね2か月に1回です。
10年間を年6回で受け取るなら、給付は合計60回。70歳時点の残高が2,400万円なら、単純計算はこうなります。
| 項目 | 計算 | 目安 |
|---|---|---|
| 受取回数 | 10年×年6回 | 60回 |
| 1回あたり | 2,400万円÷60回 | 40万円 |
| 1年あたり | 40万円×6回 | 240万円 |
したがって、運用商品の価格が70歳時点からほとんど変わらなければ、「2か月に1回およそ40万円、年間およそ240万円」というイメージになります。
ただし、これは定額年金ではありません。2,400万円は、あくまで目標を考えるための基準線です。
毎回売るのは「同じ金額」ではなく「同じくらいの口数」
SBIベネフィット・システムズの説明では、年金の受け取り時に、各商品の保有数量を残りの給付回数で割って売却数量を決めます。
たとえば、受給開始時に投資信託を120万口持ち、120回に分けて受け取る場合です。
- 1回目:120万口÷120回=1万口
- 2回目:残った119万口÷119回=1万口
- 3回目:残った118万口÷118回=1万口
スイッチングなどがなければ、結果として当初の保有口数をほぼ均等に取り崩す形になります。
一方、受取金額は売却時の基準価額で変わります。同じ1万口を売っても、基準価額が高ければ受取額は増え、安ければ減ります。
2,400万円あっても、毎回40万円とは限らない
70歳時点の価格を100とし、1回40万円を基準にすると、単純なイメージは次のようになります。
| 売却時の価格水準 | 1回の受取額の目安 | 年6回の目安 |
|---|---|---|
| 変わらない | 40万円 | 240万円 |
| 10%上昇 | 44万円 | 264万円 |
| 10%下落 | 36万円 | 216万円 |
これは値動きを単純化した試算で、将来の受取額を予測するものではありません。実際には各給付日の価格、運用中の値動き、手数料などが影響します。
僕が想定している外国株式70%・ゴールド30%の場合も、原則として商品ごとに「残りの保有口数÷残り回数」を計算して売却します。外国株式だけ、あるいは元本確保型商品だけを先に取り崩す仕組みではありません。
外国株式もゴールドも値動きがあります。70歳時点でこの配分を維持すれば、年間240万円から上下する幅は、それなりに大きくなる可能性があります。
受給中もスイッチングはできる
年金の受給中も残った資産の運用は続き、スイッチングも可能です。外国株式からゴールドへ移したり、受け取りが近づくにつれて一部を元本確保型商品へ移したりできます。
ただし、給付の売却手続きに伴うスイッチング制限期間があります。給付直前でもいつでも自由に操作できるわけではないので、変更は余裕を持って行う必要があります。
受取額をなるべく安定させたいなら、68歳から70歳ごろにかけて値動きの大きい商品の割合を少しずつ下げる方法も考えられます。ただ、どこまで下げるかは、資産を増やしたい気持ちと、受取額を安定させたい気持ちのどちらを優先するかで変わります。
2,400万円は手取りではなく、税引前の目標
もうひとつ大事なのが税金です。iDeCoを年金として受け取ると、公的年金等に係る雑所得として扱われ、公的年金と合わせて公的年金等控除を計算します。
僕のモデルでは65歳から公的年金、70歳からiDeCo年金なので、70歳以降は両方が重なります。年間240万円を受け取っても、そのまま240万円が手元に残るわけではありません。
所得税、住民税に加え、健康保険料や介護保険料への影響も、その時点の制度やほかの所得、住んでいる自治体によって変わります。また、年金受給中も所定の運用指図者手数料がかかり、給付のたびに給付事務手数料が差し引かれます。
そのため、年間240万円の「額面」を目標にするなら70歳時点で約2,400万円がひとつの目安。年間240万円の「手取り」を目標にするなら、税金や保険料を見込んで、別に計算する必要があります。
まずは「70歳で2,400万円」を基準線にする
僕の今の結論は、年6回・10年間で年間240万円程度を受け取りたいなら、70歳時点のiDeCo残高2,400万円を基準線にする、というものです。
計算そのものは、2,400万円÷60回=40万円と簡単です。
ただし、実際に毎回売却するのは一定額ではなく、各商品の一定に近い口数です。受取額は相場で変わり、税金や手数料もかかります。
「2,400万円あれば毎年必ず240万円」ではありません。それでも、老後資金をぼんやり考えるより、70歳時点の目標残高と受取回数を置いたことで、かなり具体的になりました。
受給開始が近づいたら、その時点の残高、商品配分、公的年金額、税制をもう一度確認し、受取期間と回数を決めるつもりです。
参考にした公式情報
- SBI証券:iDeCoの年金給付方法
- SBI証券:年金受取後の運用
- SBIベネフィット・システムズ:年金の受取金額の決まり方
- SBIベネフィット・システムズ:受給中の商品変更
- 国税庁:公的年金等の課税関係
※この記事は、2026年8月時点の公式情報をもとにした個人的なモデルケースです。税制、手数料、商品や受取条件は変更されることがあります。実際の受給時にはSBI証券、税務署、自治体などの最新情報をご確認ください。

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