軽量クラブ特有の「罠」を知っていますか?
日本市場を席巻し続けるゼクシオの実力
ゴルフクラブ市場において、これほど長期間にわたって絶大な人気を誇り続けているモデルは他にないでしょう。ダンロップのXXIO(ゼクシオ)シリーズです。
初代ゼクシオが発売されたのは2000年。それから四半世紀が経過した2025年には14代目となるXXIO14が発売されました。実に25年間も同じブランド名でモデルチェンジを重ねているのです。これは単なる商品寿命の長さではありません。毎年のように新モデルが登場しては消えていくゴルフクラブ業界において、これだけ長期間支持され続けているということは、ゼクシオが確固たる市場ポジションを築いている証拠に他なりません。
ゼクシオの人気の秘密は、その「軽くて飛ばせる」というコンセプトにあります。特にシニアゴルファーや非力なゴルファーにとって、軽量でありながら飛距離が出るという特性は非常に魅力的です。実際、ゴルフショップの店頭では「ゼクシオ指名買い」をするユーザーも少なくありません。
しかし、この人気シリーズには、所有者が必ず直面する「ある問題」が潜んでいます。それがグリップ交換の難しさです(ゼクシオのグリップ重量)。
ゼクシオの「特殊性」はすべてがオーダーメイド設計
ゼクシオが他のクラブと決定的に異なるのは、グリップの重量も口径もすべてバラバラという点です。
一般的なゴルフクラブセットでは、ドライバーからアイアンまで、ある程度統一されたグリップ仕様が採用されています。これにより、グリップ交換時には同じ規格の汎用グリップを使い回すことができます。ところがゼクシオは違います。
- ドライバー用グリップ:約27〜41g
- フェアウェイウッド用グリップ:約27〜43g
- ユーティリティ用グリップ:約38〜45g
- アイアン用グリップ:約42〜48g
このように、番手ごとに細かく重量設定が異なっているのです(モデルによって若干の差があります)。さらに、グリップの内径・外径といった口径も微妙に異なります。
なぜこのような設計になっているのでしょうか?答えは「トータルバランスの最適化」にあります。
ゼクシオは軽量シャフトを採用しており、そのシャフトもゼクシオ専用設計です。クラブ全体の重量バランス(スイングウェイト)を最適化するために、グリップ重量も番手ごとに緻密に計算されているのです。つまり、シャフトもグリップも、すべてが「ゼクシオ専用のオーダーメイド設計」なのです。
グリップ交換で直面する現実的な問題
ゴルフのグリップは消耗品です。使用頻度にもよりますが、一般的には1〜2年で交換が推奨されます。グリップが劣化すると滑りやすくなり、スイングの安定性が損なわれるからです。
ここで問題が生じます。
問題1:汎用グリップでは代替できない
市販されている汎用グリップは、重量でいえば50g前後が標準です。口径も一般的な規格に統一されています。ところがゼクシオのグリップは30〜40g程度と軽量で、しかも口径も独自仕様です。
つまり、市販の汎用グリップではそもそも代替できないのです。
問題2:純正グリップの在庫問題
「それなら純正グリップをメーカーから取り寄せればいい」と思うかもしれません。しかし、ここにも落とし穴があります。
グリップはゴム製品であり、消耗品という性質上、メーカーも永続的に在庫を保持しているわけではないのです。
現行モデル(XXIO14)や、ひとつ前のモデル(XXIO13)であれば、おそらく純正グリップの在庫はあるでしょう。しかし、XXIO10、XXIO9、さらに古いモデルとなると、純正グリップの在庫がない可能性が極めて高いのです。
実際、ゴルフショップに問い合わせても「そのモデルの純正グリップは廃盤です」と言われるケースが少なくありません。
問題3:メーカー推奨代用品の「微妙な違い」
純正グリップの在庫がない場合、メーカーは代用品を推奨します。「こちらのグリップで代用可能です」という案内がなされるわけです。
しかし、ここで重要なのは、厳密には同じではないという点です。
代用品は「できるだけ近い仕様」というだけであり、重量も口径も完全一致しているわけではありません。たとえば、純正が32gだったところに34gの代用品を使えば、わずか2gの差ですが、クラブのバランス(スイングウェイト)は確実に変わります。
スイングウェイトは、わずか2gの変化でも0.5〜1ポイント程度変動することがあります。たとえばD0だったクラブがD1やC9になる可能性があるのです。これは、スイング感覚に敏感なゴルファーであれば明確に違いを感じるレベルです。
さらに厄介なのは、ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアンと、すべての番手で重量も口径もバラバラなため、代用品もそれぞれ異なるものを選定しなければならないという点です。結果として、セット全体のバランスが微妙にズレてしまう可能性が高いのです。
なぜゼクシオはこれほど特殊なのか?
ここまで読んで、「なぜゼクシオはこんなに特殊な設計にしているのか?」と疑問に思うかもしれません。
答えは、軽量クラブ特有の設計思想にあります。
一般的なクラブは総重量が重めに設定されているため、グリップ重量が多少前後してもバランスへの影響は小さく抑えられます。しかしゼクシオのような軽量クラブでは、クラブ全体が軽いため、わずかなパーツの重量変化が全体バランスに大きく影響するのです。
そのため、ゼクシオでは番手ごとに最適なバランスを実現するために、シャフトもグリップもすべて専用設計にせざるを得ないのです。これは軽量クラブならではの「必然的な特殊性」といえます。
実際、ゼクシオ以外の軽量クラブ(たとえば他メーカーのシニア向けモデルなど)でも、同様に専用グリップを採用しているケースが多く見られます。軽量クラブを使っている場合は、汎用グリップでは代用できないと思っておいた方が無難です。
グリップ交換で失敗しないための実践的アドバイス
それでは、ゼクシオユーザーがグリップ交換を行う際、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
1. 早めの交換を心がける
グリップが完全に劣化してから交換するのではなく、まだ純正グリップの在庫がある段階で交換することが重要です。現行モデルから2〜3世代以内であれば純正グリップが入手できる可能性が高いため、使用開始から1〜2年を目安に交換を検討しましょう。
2. 信頼できるプロショップに相談する
グリップ交換は自分で行うこともできますが、ゼクシオのような特殊仕様のクラブの場合は、必ずプロショップに相談することをお勧めします。
経験豊富な工房スタッフであれば、適切な代用品の選定や、バランス調整の方法についてアドバイスしてくれます。場合によっては、グリップ内に鉛テープを貼るなどして重量調整を行い、元のバランスに近づけることも可能です。
3. セット全体のバランスを記録しておく
グリップ交換前に、各クラブのスイングウェイト(バランス)を測定し、記録しておくことをお勧めします。これにより、交換後にバランスがどれだけ変化したかを確認でき、必要に応じて再調整を依頼できます。
多くのゴルフショップには計測器がありますので、「バランスを測ってもらえますか?」と依頼すれば対応してもらえます。
4. 複数本まとめて交換する
1本だけグリップ交換すると、その1本だけスイング感覚が変わってしまい、セット全体の統一感が失われます。できればドライバーからアイアンまで、セット全体をまとめて交換することで、統一感を保つことができます。
5. 将来的なグリップ入手困難性を考慮する
古いモデルのゼクシオを使い続ける場合、いずれ純正グリップの入手が困難になることは避けられません。その時点で、クラブの買い替えも視野に入れる必要があるかもしれません。
あるいは、今のうちに予備の純正グリップを数セット購入しておくという選択肢もあります。グリップ自体はそれほど高価ではないため(1本約1,500円前後)、将来の安心のために備蓄しておくのも一つの方法です。
他メーカーとの比較 : 汎用グリップが使える一般的なクラブとの違い
ゼクシオの特殊性をより理解するために、一般的なクラブとの違いを見てみましょう。
たとえば、タイトリスト、キャロウェイ、テーラーメイドといったメーカーの標準的なモデルでは、グリップはゴルフプライド社のツアーベルベットシリーズなど、市販の汎用グリップが採用されているケースが多いです。
これらのクラブであれば、グリップ交換時に同じ規格の汎用グリップを購入すればよく、メーカーや年式を気にする必要はありません。ゴルフショップやネット通販で簡単に入手でき、自分で交換することも容易です。
また、クラブ総重量が300g以上ある一般的なクラブでは、グリップ重量が数グラム前後してもバランスへの影響は限定的です。そのため、厳密な重量管理をしなくても、実用上問題になることは少ないのです。
一方、ゼクシオのような軽量クラブ(総重量270〜290g程度)では、わずか2〜3gのグリップ重量差が顕著にバランスを変化させます。これが、ゼクシオがここまで専用設計にこだわる理由なのです。
まとめ:ゼクシオユーザーが知っておくべきこと
ゼクシオは、その優れた性能と使いやすさで25年間愛され続けてきた名器です。しかし、その特殊な設計ゆえに、グリップ交換には通常のクラブ以上の注意が必要です。
ポイントをまとめると:
- ゼクシオのグリップは番手ごとに重量・口径が異なる専用設計
- 汎用グリップでは代替できない
- 古いモデルは純正グリップの在庫がない可能性が高い
- 代用品を使う場合、バランスが変わる可能性が大きい
- グリップ交換は信頼できるプロショップに相談すべき
- 将来的なグリップ入手困難性も考慮に入れる
これからゼクシオを購入しようと考えている方へ:
ゼクシオは優れたクラブですが、こうした「維持管理の特殊性」があることも理解した上で選択することをお勧めします。特に中古で古いモデルを購入する場合は、グリップ交換の問題が早期に発生する可能性があることを念頭に置いてください。
すでにゼクシオを愛用している方へ:
グリップの状態を定期的にチェックし、劣化の兆候が見られたら早めに対処しましょう。純正グリップが入手できるうちに交換するか、あるいは予備グリップを確保しておくことで、長く快適にゼクシオを使い続けることができます。
軽量クラブの恩恵を最大限に享受するためには、その特性を正しく理解し、適切にメンテナンスすることが不可欠です。ゼクシオという名器を、ぜひ末永く愛用してください。
【図解】ゼクシオの「罠」:軽量クラブのグリップ交換が難しい理由















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