『南田南弁護士は天才肌』第1話。原作に忠実で、日本版として自然だった

テレビドラマ

※この記事には『南田南弁護士は天才肌』第1話のネタバレがあります。

ドラマ『南田南弁護士は天才肌』が、10月19日に始まりました。

韓国ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の日本リメイクです。放送前には芦田愛菜さんを日本版の南田南として見たいと書きましたが、第1話を見終わって、その心配はいらなかったと思いました。

事件の内容や人物の配置は原作にかなり忠実です。それでいて、韓国版をそのまま日本人が演じているという感じではなく、日本のドラマとして自然に見ることができました。

原作に忠実。でもコピーには見えなかった

第1話で南田南が担当したのは、認知症の夫をアイロンで殴り、殺人未遂で起訴された妻の事件です。

上司は執行猶予を取るように指示しますが、南は殺人未遂では無罪にすべきだと考えます。有罪になると、妻は夫の財産を相続できなくなる可能性がある。事件を刑事裁判だけでなく、その後の生活まで含めて見るところは、韓国版の第1話と同じです。

初めて言葉を話した幼い日の記憶、法律事務所への初出勤、苦手なものを前に立ち止まる場面、法廷で自分の考えを一気に話す姿。韓国版を見た人なら、知っている場面が次々と出てきます。

ここまで同じだと、普通なら比べることばかり気になりそうです。しかし、見ているうちにウ・ヨンウではなく、南田南の話として入っていくことができました。

回転ドアをエスカレーターにしたのがよかった

原作で印象に残っている回転ドアは、日本版ではエスカレーターに変わりました。

回転ドアを無理に探して同じ場面を再現するのではなく、日本で毎日見かけるエスカレーターを使う。湊人が南に動きのリズムを教え、二人で乗る場面は、原作の雰囲気を残しながら日本版らしくなっていました。

父親が営む店も、キンパ店からおむすび店へ変わっています。法律事務所の人間関係や裁判の進め方も、日本の職場や法廷に合わせてあります。

日本と韓国では文化も暮らしも違います。原作に忠実であることは、すべて同じにすることではないのでしょう。物語の大切な部分を残し、日本で自然に見える形へ置き換える。第1話はその加減がよかったと思います。

芦田愛菜は、芦田愛菜の南田南だった

芦田愛菜さんの連続ドラマ主演は、2016年の『OUR HOUSE』以来10年ぶりだそうです。

子役時代から演技がうまいことは分かっていましたが、今回もさすがだと思いました。

南は感情がないわけではありません。感じていることを、周囲が分かりやすい形で表すのが難しい。その小さな心の動きを、芦田さんは視線や声、手の動きで見せていました。

特によかったのは法廷の場面です。反響言語を裁判長へ返しながら、法律の話になると迷いが消え、一気に言葉が出てくる。普段の南と弁護士としての南が、同じ人物の中にいることが伝わりました。

韓国版のパク・ウンビンとは、姿勢や視線の使い方も違います。それを「原作と違う」と考える人もいるでしょう。ただ、自閉スペクトラム症の現れ方は一人ひとり違います。パク・ウンビンのウ・ヨンウと同じ演技をする必要はありません。

僕には、芦田愛菜さんがウ・ヨンウをまねるのではなく、南田南という人物を作ろうとしているように見えました。

高橋文哉と角田晃広も自然だった

船井湊人を演じる高橋文哉さんもよかったですね。

南が困っているからといって特別扱いするのではなく、必要なときだけ自然に手を差し出す。エスカレーターの場面で見せた距離感は、原作のイ・ジュノを思わせながらも、日本版の湊人として違和感がありませんでした。

父親の南田誠を演じる角田晃広さんも、原作の父親とは少し違う柔らかさがありました。「南には南の世界がちゃんとある」という言葉は、このドラマが南をどのように描こうとしているのかを表していたと思います。

原作の人物と対応させながら見ても面白いのですが、キャストがそろって動き出すと、日本版独自の家族や職場の空気が見えてきました。

SNSで話題になるのも分かる

放送後のSNSでは、原作に忠実な作りや、エスカレーターへの変更、芦田愛菜さんの演技を評価する声が多く紹介されています。一方で、原作の演技を意識しすぎていると感じた人もいるようです。

原作がこれだけ人気のある作品ですから、意見が分かれるのは当然でしょう。僕も見る前は、韓国版の印象が強すぎて日本版へ入っていけるのか気になっていました。

しかし第1話を見る限り、原作への敬意は十分に感じました。違うところも、ただ変えたのではなく、日本の物語にするための変更に見えます。

初回の平均視聴率は関東地区で世帯7.4%、個人3.9%だったと報じられています。数字だけで作品のよさは決まりませんが、放送直後から話題になったのは、リメイクとして注目されていたことに加え、第1話の出来がよかったからでしょうね。

この先が楽しみです

『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の面白さは、ヨンウが事件を解決することだけではありませんでした。仕事を続けるなかで同僚や依頼人と出会い、自分にも周囲にも少しずつ変化が生まれていくところにあります。

日本版の第1話も、その始まりを丁寧に描いていました。原作を知っているので、この先どの事件が使われ、どこが日本向けに変わるのかも気になります。

ただ、原作との答え合わせだけで見るのはもったいないですね。芦田愛菜さんの南田南と、高橋文哉さんの船井湊人が、これからどんな関係を作っていくのか。日本版として、この先を楽しみに見たいと思います。

公式情報・参考記事

※放送内容、出演者コメント、視聴率は2026年10月20日に確認しました。SNSの反応は個別投稿を引用せず、複数の報道で紹介された傾向として記載しています。

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