※この記事には『南田南弁護士は天才肌』第3話のネタバレがあります。
ドラマ『南田南弁護士は天才肌』第3話を見ました。
今回は、自閉スペクトラム症の弟・深町惣介が兄の駿介を殴り、死亡させたと疑われる事件です。第2話の最後に少しだけ予告されていましたが、想像していた以上に考えさせられる内容でした。
第3話のタイトルは「それが、私たちの現実です」。事件の真相だけではなく、自閉症の人を見る周囲の目、同じ自閉症でも一人ずつ違うということ、そして南自身が弁護士として直面する現実まで描かれていました。
兄を殴って死なせたと疑われた弟
フカマチ・バイオテック会長の長男・駿介が亡くなります。1歳年下の弟・惣介が、倒れている兄に馬乗りになっていたところを両親が発見しました。
駿介は意識不明のまま搬送され、1週間後に死亡。死因は肋骨22か所の骨折による胸腔内出血でした。胸の前側の骨折は救急隊の心肺蘇生で生じた可能性がありますが、背中側には直線状に11か所の骨折がありました。
検察は惣介の暴行によるものと考えます。しかし、惣介は事件について聞かれても「やめろ」と繰り返すだけでした。
惣介は23歳で、重度の自閉スペクトラム症とされています。言葉だけで状況を説明してもらうことは難しく、家族も事件の理由が分かりません。
好きなものから会話を始める
南は父親から、相手の好きなものを掘り下げてみたらどうかと言われます。惣介が好きなのはウルトラマンゼロでした。
そこで宮地先生がウルトラマンゼロになり、惣介と遊びながら心を開いてもらおうとします。この場面は少し笑えましたが、好きなものを通してコミュニケーションを取るという考え方は、南が子どもの頃、父親が鯨の話で落ち着かせていた経験にもつながっています。
ただ、心を開いたように見えても、事件の質問をすると惣介は再び混乱します。好きなものを使えば、すべてが簡単に伝わるわけではありません。
南と惣介は同じ自閉スペクトラム症ですが、同じように話し、同じように理解できるわけではない。その違いが今回の大事なところでした。
「やめろ」は兄を攻撃する言葉ではなかった
南と湊人は、警察の現場検証が十分ではなかった可能性を考え、駿介の部屋を調べます。
部屋には、大きな力がかかったように2か所が曲がった電気コードが残っていました。梁の幅とも一致します。駿介の首に痕があったことや、ノートに追い詰められた気持ちが書かれていたことから、駿介は首をつろうとしていたのではないかと南は考えました。
惣介の「やめろ」は、自分への攻撃をやめろという意味ではなく、兄が死のうとするのを止めようとした言葉だったのかもしれません。
ところが両親は、長男が自殺を図った可能性を受け入れようとしません。亡くなった駿介の名誉を守りたい。南は、生きている惣介の名誉はどうなるのかと問い返します。
この場面は重かったですね。どちらか一人を守ればいい話ではありません。ただ、長男の自殺を隠せば、弟は理由もなく兄を殴り殺した人として扱われてしまいます。
自閉症だから心神耗弱なのではない
弁護側は当初、惣介がパニックによって行動を制御する能力を著しく失っていたとして、心神耗弱を主張しようとします。
法廷で検察官は、惣介が自閉症だから心神耗弱だというなら、同じ自閉症の南も心神耗弱なのかと問いかけました。
もちろん、これはおかしな理屈です。心神耗弱かどうかは、診断名だけではなく、事件当時の精神状態や行動を個別に判断するものです。同じ自閉スペクトラム症だから、南と惣介の状態が同じになるわけではありません。
宮地先生も反論しますが、依頼人である父親は、検察にそこを攻められることを恐れ、南を担当から外してほしいと求めます。南はその申し出を受け入れました。
南を信頼していないというより、息子を守るために不利になりそうなものを一つでも減らしたい。父親の気持ちも分からなくはありません。しかし、事件の真相に近づいた南が、自閉症であることを理由に法廷から遠ざけられてしまう。そこにも今回のテーマがありました。
同じ自閉症でも、同じ人ではない
南は、自分と惣介の違いを周囲へ説明することができます。しかし、検察官や裁判員が同じように理解してくれるとは限らないと考えます。
街を湊人と歩けば、湊人が障害者ボランティアをしていると思われる。惣介がタクシー料金を払わずに降りようとしたとき、運転手は南では事態を収められないと思う。
同じ診断名でひとまとめにされる一方で、必要な場面では一人ずつの違いを理解してもらえない。それが「私たちの現実です」という言葉につながっていました。
番組の中では、ナチス政権下で障害のある人の権利が奪われ、命まで奪われた歴史にも触れています。そして現在も、障害のない若者が亡くなったことを「社会的損失」とするような言葉に、多くの人が反応する現実が描かれました。
障害があることと、事件を起こすことは別の問題です。この二つを簡単に結びつけてしまう怖さを、ドラマはかなり正面から扱っていたと思います。
背中の11本の骨折は落下によるものだったのか
担当を外れた後、南は自分で首をつる状況を再現しようとします。そこへ湊人が入り、南の体を持ち上げてコードを外そうとしました。
そのとき南は、体が後ろへ傾き、背中から床へ落ちます。これが事件の真相に気づくきっかけになりました。
惣介は、首をつろうとした兄を助けるため、兄の体を持ち上げてコードを外そうとした。コードが外れたとき、駿介は背中から床へ落ち、その衝撃で右側背面の肋骨11本を直線状に折った可能性があります。
両親が見た馬乗りの状態も、兄を殴り続けていたのではなく、意識を取り戻させようとしていたのかもしれません。
惣介は兄を傷つけようとしたのではなく、ウルトラマンゼロのように兄を助けようとしていた。最初から出ていた「やめろ」という言葉の意味が、ようやく分かります。
家族が長男の自殺を公表する決断
傷害致死を否定するには、駿介が自殺を図ったことを明らかにしなければなりません。
父親は、子どもを自分の人生の成績表のように考えていたと話します。優秀な長男が苦しんでいたことを認めたくなかった。しかし、その期待が駿介を追い詰めたのではないかと気づきます。
そして、生きている惣介を守るため、長男の自殺未遂を法廷で明らかにすることを決めました。
法廷では、惣介自身が兄を助けようとしたことを何とか答えます。判決はまだ出ていませんが、弁護側は傷害致死について無罪となる可能性が高く、仮に顔のけがで傷害罪が認められても執行猶予が見込まれると考えています。
事件の真相を見つけたのは南ですが、法廷に立ったのは氷見先生でした。南は最後まで担当へ戻りません。この終わり方も簡単ではありませんでした。
今回もいい内容でした
第3話は、自閉症を分かりやすく説明するだけの話ではありませんでした。
同じ自閉症でも特性は違う。家族であっても本人の気持ちを完全には分からない。正しいことを言っても、依頼人に受け入れてもらえるとは限らない。そして弁護士として力があっても、偏見によって法廷から外されることがある。
南は事件を解決する糸口を見つけましたが、自分は被告人の力になれないと考え、事務所も休んでしまいます。事件がよい方向へ進んだから、すべて解決したわけではないんですね。
最後には、莉々衣の力になりたいという南の言葉が出てきます。次回は南の過去や、莉々衣との関係にもつながるのでしょうか。
今回も日本版としていい内容でした。原作を知っていても、芦田愛菜さんの南田南がこの現実をどう受け止め、もう一度弁護士として前へ進むのか、続きが気になります。
前回の記事と放送情報
※この記事は2026年11月2日放送の第3話を、文字起こしで内容を確認しながらまとめた個人の視聴記録です。事件や法廷の説明はドラマ内の描写を要約したもので、一般的な法律判断を示すものではありません。

コメント