半分しか血のつながりがない「私」と、弟の「春」。春は、私の母親がレイプされたときに身ごもった子である。ある日、出生前診断などの遺伝子技術を扱う私の勤め先が、何者かに放火される。町のあちこちに描かれた落書き消しを専門に請け負っている春は、現場近くに、スプレーによるグラフィティーアートが残されていることに気づく。連続放火事件と謎の落書き、レイプという憎むべき犯罪を肯定しなければ、自分が存在しない、という矛盾を抱えた春の危うさは、やがて交錯し…。
重いテーマを伊坂流と言うべきか明るいタッチで描かれてしかもテンポがいい。主人公の私よりも弟の春が魅力的な人物に仕上がっていて、それと父がいいスパイスになっている。面白いが、ただそれだけの本かもしれないと思ってしまった。
コメント
重力ピエロ
とにかくよかった!
他の方も書いているように、突然の不幸に見舞われながらもたくましく自分たちの人生を生きていくという、ごく普通のありふれた人々に対する…