刹那であるから素晴らしい

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 爺はすべての心地よいこと、幸に類することは刹那であるから素晴らしく感じられるのだと言葉を尽くして教えてくれた。
 権介は、それを真実であると感じた。
 女を抱くときの快も一瞬ならば、博奕の集中もじっくり吟味すれば瞬間である。旨いものも喉をすぎればお仕舞いだし、食い過ぎれば吐きもどしてしまう。

花村萬月 『私の庭 −浅草編−』 p52

刹那であるから素晴らしいとは上手く言ったもんだな。さすが、萬月先生です。一瞬の中に素晴らしさというものが多く存在すると僕も思う。欲しい物を手に入れた瞬間に最高の喜びがあって、そしてそれが逃げてしまうとまた欲しくなって。でも、手に入れ持ち続けると色あせてきてしまう。なるほど、刹那であるほど幸であるのか。

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