今年の4月に作家の加藤廣氏が死去された。加藤廣氏といえば2005年に刊行された『信長の棺』がベストセラーになり話題になった。気になってはいたがなかなか手に取ることをしなかったが、著者のご冥福を祈って読むことにした。
信長の遺体の行方に迫る
主人公は信長の家臣太田牛一。太田牛一が信長の遺体の真相に迫るが、その先にあるものは主君を亡き者にするために謀略を計画した秀吉がいた。
本能寺の変の直前から秀吉がなくなるまでの話になるが実に面白い。文面から信長を擁護する太田牛一は著者の加藤廣氏の目線でもある感じがした。それに対し、秀吉の苦悩の数々を見るにつれて、秀吉という人物をどこか蔑んでいるように感じた。
これまで、読んだ時代物小説の秀吉とはまたひとあじ違った秀吉像がそこにあって実に面白い。視点が違うとこうまで違うのか。
『信長の棺』『秀吉の枷』『明智左馬助の恋』は本能寺3部作と呼ばれているので、次は『秀吉の枷』を読んでみたいと思う。
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