2007年4月18日

『悲鳴』 東 直己

悲鳴
悲鳴
posted with amazlet on 07.04.18
東 直己
角川春樹事務所 (2004/05)

 私立探偵・畝原シリーズ。登場人物は前回と同じだけど、タクシー運転手の太田さんが年をとって覇気がなくなってきた。姉川女史とは発展はないが、お互い心を許しあえるようになって来た感じ。娘の冴香が中学生になってちょっとませたかな。

 浮気調査を依頼した「妻」が実はとんでもない女でストーカー・クレイマー・恐喝と散々振り回される。この「妻」は何社も探偵社に浮気調査をしていて、そのことに気が付いた畝原が同業者に連絡を取るところから、バラバラ死体遺棄事件に巻き込まれてしまう。「知りたい」という感情が根っこにありどんどん深みにはまっていくのが畝原のいいところであり悪いところでもあるのだろう。毎日、嫌がらせのFAXが来るし、横山の家に死体の一部が置かれてそのおかげで横山の仕事もしなければいけなくなったりと。

 死体遺棄の犯人探しにあぶちゃんこと高橋とホームレスに会いに行くが、この高橋のキャラクターがいい。「困ったもんだ」が口癖なんだけど、いい人なんだな。最初は違和感を感じていたが、読み進むうちに「困ったもんだ」がいい意味を出してくる。自分に対して「困ったもんだ」、相手に対して「困ったもんだ」、世の中に対して「困ったもんだ」と。人間関係を上手くつくれないけど、ある種の人達からは信頼されている。外見、挙動、発言だけで人を判断はしていけないということを言っているのかもしれない。


at 08:34 | BOOK | Comments [0] | TB [0]


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