世の中で影響力を持つ人のタイプや、人々が「どんな生き方を良しとするか」が変わりつつある。
最近、そんな空気の変化を感じている人は多いのではないでしょうか。
ただ、「何がどう変わっているのか」を言語化できる人は少ない。
そこで私は、現代の価値観を A面/B面/C面 という3つのステージで捉えることを提案しています。これは人々の“憧れ”と“生き方の指針”がどこに置かれているのかを示す、ひとつの地図のようなものです。
■ A面/B面/C面とは何か?
まず、この3つをシンプルに整理しておきます。
| フェーズ | どんな世界か | キーワード | 主な象徴 |
|---|---|---|---|
| A面 | 肩書き・権威・公的信用に価値がある世界 | 正しさ、安定、ステータス | 上場企業社長、有名大学、TVタレント、政治家 |
| B面 | 本音・個性・発信力が価値になる世界 | 自分らしさ、共感、リアル | インフルエンサー、クリエイター、YouTuber |
| C面 | “意味”や“物語”に価値が移動する世界 | 内省、精神性、物語、つながり | SBNR(スピリチュアルだが宗教ではない人たち)、内面探求コミュニティ |
この3分類を知っているだけで、時代の動きが驚くほど理解しやすくなります。
■ A面:正しさが価値だった時代
かつての日本は、圧倒的にA面が主流でした。
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良い大学に入り、
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有名企業に就職し、
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社会的ステータスを積み上げることが成功。
テレビに出る人は特別で、政治家の発言は重く、上場企業の社長は尊敬の対象。
“白く整ったパブリックな世界”が憧れであり、正しさを身につけることが人生の指針でした。
この価値観は、昭和〜平成初期まで日本社会を支配していた世界観といえます。
■ B面:個が立つ時代へ
ところが、SNSの登場で風向きが変わります。
権威や肩書きよりも、“その人自身”のリアルな声や生き方に人が惹かれるようになりました。
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企業ではなく、個人の発信に価値が生まれた
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本音・暴露・裏側を話す人に人気が集まった
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フォロワーを持つ個人が経済を動かし始めた
アメリカでは、この流れはすでに主流です。
大統領でさえSNSで本音を語り、炎上しながらも支持を得る。
起業家たちは弱さや葛藤をもコンテンツ化し、ファンコミュニティを築く。
日本はこのB面文化が“ネット界隈のトレンド”として語られがちですが、確実に一般層にも浸透しつつあります。
A面が弱まり、「権威より個人へ」という価値観の移動が起こっているのは、もう明らかです。
■ C面:次に来るのは「意味」の時代
では、その次の価値観はどこへ向かうのでしょう?
私は、その先に C面の時代があると見ています。
C面とは、宗教ではない。だけど、どこか“心の拠り所”のようなものを求める生き方。
世界ではそれを SBNR(Spiritual But Not Religious) と呼びます。
「宗教ではないが、精神性やスピリチュアルな感覚を大切にする人たち」です。
A→B→Cの流れを心理で表すとこうなります。
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A面:外側の基準に合わせて生きる(正しさ)
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B面:外側の反応で自分を評価する(承認・自分らしさ)
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C面:内側の声と物語で生きる(意味・つながり)
情報が溢れ、便利が行き渡り、物質的な豊かさが当たり前になった今。
その先に人が求めるものは、**「自分は何者として生きたいのか」**という問いなのだと思います。
■ なぜC面が必要とされるのか?
今、多くの人がこんな感覚を持ち始めています。
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頑張っているのに満たされない
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表面的な“いいね”では心が動かなくなった
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何を目指せばいいか分からない
これは、“承認消費の限界”です。
B面は自由を与えましたが、同時に比較と疲労も生みました。
そして人々は次のフェーズへ進み始めています。
外側の評価ではなく、内側の静かな確信を求める段階へ。
C面では、次のような価値が重視されます。
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哲学・神話・物語から生き方を学ぶ
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内省・対話・共同体で心が整う
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科学とスピリチュアルの中間に新しい文化が生まれる
宗教でも自己啓発でもない。
もっと人間的で、穏やかで、深い世界です。
■ 私が取り組みたいこと
私は来年、このC面を体験できる「本 × 合宿」プログラムをリリースする予定です。
本は“知識”。
合宿は“体験”。
その両方を掛け合わせ、
正しさでも、承認でもない、「意味」から生きるきっかけをつくりたいと思っています。
A面でも、B面でも語れない場所。
そこには、静かに内側が震えるような気づきがあるはずです。
時代の価値観は、ゆっくり、しかし確実に変化しています。
A面からB面へ、そして次はC面へ。
その流れに気づき、自分の生き方を少しずつ調整していくこと。
それがこれからの時代を“心豊かに”生きるヒントになるのではないでしょうか。

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