ダンロップの人気シリーズ「ゼクシオ」の14代目が、11月22日についに発売となります。正式な製品情報は各メディアやウェブサイトで詳しく紹介されていますので、ここでは私が特に注目している変更点について解説していきます。
価格戦略の大転換
まず最も大きな変化として、価格設定が挙げられます。定価は従来通り92,000円(税別)ですが、前作のゼクシオ13では店頭価格が定価の10%オフで販売されていたのに対し、今回のゼクシオ14では店頭価格イコール定価での販売となっています。つまり、実質10%の値上げということになります。
これは業界全体の流れを反映したものです。現在発売中のテーラーメイドQi35、キャロウェイのエリート、タイトリストなども定価販売を採用しています。これまでゴルフクラブ業界では、定価の10%オフという不自然な価格設定が慣例化していましたが、他社メーカーが定価販売に踏み切ったことで、ついにゼクシオもこの流れに追随した形です。今後、定価販売が業界のスタンダードになっていくことは間違いないでしょう。
ついにカチャカチャドライバーを採用
次に注目すべき点は、ゼクシオ14がついに可変スリーブ機構(いわゆる「カチャカチャ」)を搭載したドライバーを投入したことです。
ダンロップは長年、「ゼクシオだけはカチャカチャドライバーにしない」という信念を貫いてきました。しかし、昨今のカチャカチャドライバーブームに押される形で、ついに方針転換を図ったようです。
カチャカチャ採用のメリットとデメリット
可変スリーブには、様々なゴルファーのスイングに合わせて調整できるという大きな利点があります。一方で、ネック部分が重くなるという欠点も存在します。
アスリート系のパワーがあるゴルファーであれば問題ありませんが、パワーのないアベレージゴルファーの場合、ネック重量を抑えてヘッド内部に重量配分した方が、より高パフォーマンスなヘッドを実現できることは明らかでした。
それをあえてカチャカチャ仕様にしたということは、ゼクシオの長所を損なうことなく、さらに幅広いターゲット層を取り込もうという戦略があると私は考えています。
フィッティングの可能性が広がる
実は、ダンロップのフィッティング店舗には以前から専用のフィッティングシステムが導入されており、アイアンではZXi5やZXi7のライ角違いヘッドや、ゼクシオ13のカチャカチャヘッドも用意されていました。
これにより、ゼクシオ13にカスタムシャフトを組み合わせたフィッティングも可能でしたが、意外と知られていない事実でした。私自身、このシステムを使ってフィッティングを行ったところ、多くのお客様から「なぜゼクシオはカチャカチャを出さないのか」というお問い合わせをいただいていました。
ゼクシオヘッドとカスタムシャフトの相性
ゼクシオのヘッドは基本性能が高く、ボールの曲がりを抑える性能に優れています。特にスライサーの方やフェード系の球筋の方にとって、ゼクシオヘッドとの相性は抜群です。これにカスタムシャフトを組み合わせることで、さらなる飛距離アップが期待できることは実証済みでした。
おそらく、こうした現場での経験を踏まえて、ゼクシオ14ではカチャカチャドライバーの採用に踏み切ったのではないかと推測しています。
カスタマイズでさらなる可能性を
ここで注目すべき点があります。ゼクシオ14の純正仕様は、長さが46インチ、グリップ重量が31グラム、後径が64という、かなり軽量で肉薄のグリップを採用しています。
一方、ゼクシオ14プラス(前作で言えばゼクシオXに相当するアスリート系モデル)は、ゴルフプライドの純正グリップ(後径60、重量50グラム)を採用し、長さも45.75インチとなっています。
つまり、ゼクシオ14のヘッドにカスタムシャフトを組み合わせる場合、長さを短くしてグリップ重量を重くすることで、かなり幅広いゴルファーに対応できる可能性があります。フィッティング次第で、非常に面白い結果が出るのではないかと期待しています。
まとめ
ゼクシオ14は、価格戦略の転換とカチャカチャドライバーの採用という、二つの大きな変更点を持って登場します。特にカスタムフィッティングにおいては、これまで以上に幅広い選択肢が生まれることでしょう。
ただし、最適なクラブを見つけるためには、フィッターの腕前や知識も重要な要素となります。信頼できるフィッターに巡り合うことが、ゼクシオ14の真の実力を引き出す鍵となるかもしれません。

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