Xで急増中?選挙を狙う「無意味な日本語Bot軍団」の不気味な実態
X(旧Twitter)のタイムラインに潜む「ワードサラダ」—一見すると無害だが、どこか不気味な違和感を覚える無意味な日本語の投稿群が、実は選挙の世論操作を目的とした巨大ネットワークの兆候である可能性が指摘されています。
Xユーザーの@Dirg_rocketdyne氏による大規模な調査によって、これらが単なるスパムではなく、高度に組織化された巨大なボットネットワークの一部であり、将来の政治的な目的のために準備されている可能性が浮かび上がってきました。
この記事では、この衝撃的な発見から浮かび上がった重要なポイントを3つに絞って分析します。これらのボットが何者で、どのように活動し、なぜ私たちが深刻な注意を払うべきなのかを明らかにします。
1. ポイント1:その正体は「ねずみ講」式の巨大ネットワーク
このボット軍団の最も特異な点は、その組織構造にあります。発見者である@Dirg_rocketdyne氏は、これを「ねずみ講型」あるいは「終わりなき構造」と表現しています。
仕組みはこうです。1つのボットアカウントが20〜60の他のボットアカウントをフォローし、フォローされたアカウントがさらに別々の20〜60のアカウントをフォローする。この連鎖が雪だるま式にネットワークを拡大させていくのです。この構造は、ネットワークを人力での追跡がほぼ不可能な規模—総数は数万から数十万にも及ぶと推定されています—にまで成長させています。
このピラミッド構造は、単一の障害点を持たない分散型ネットワークを形成するため、極めて巧妙です。一部のクラスターが凍結されても、ネットワークの大部分は影響を受けずに活動を継続できる高い耐性を持ちます。
さらに、これらのアカウントのアクセス元はアメリカ、インド、イギリスといった海外が中心です—これは、個人のいたずらではなく、潤沢な資金と技術を持つ組織の関与を強く示唆しています。
2. ポイント2:投稿される無意味な「ワードサラダ」の目的
では、なぜこれらのボットは意味不明な日本語を投稿し続けているのでしょうか。この一見無意味な投稿は「ワードサラダ」と呼ばれ、実は計算された目的を持っています。
ワードサラダの具体例
「今日の天気は晴れですけど、夕飯にカレー食べました」「n円の〇〇買った 迷ったけど…結局買っちゃった」「朝起きたら雨だったね。コーヒー飲んで出勤します」
これらの投稿は、ボットアカウントがXのアルゴリズムから「ごく普通の日本人ユーザー」であると認識されるための「ウォーミングアップ」、つまりアカウントの「育成」段階なのです。目的は、Xのシステム内におけるアカウントの「信頼スコア」を高めることにあります。
多くのアカウントは数年前に作成された休眠状態のものでしたが、特定の日(例: 2026年1月上旬〜中旬)に一斉にアクティブ化するという協調行動も確認されており、計画的な運用を示唆しています。最初から政治的な投稿をするとシステムに検知され、アカウントが凍結されたりシャドウバンされたりするリスクが高まります。そこで、まずは無害な日常会話を模倣した投稿を繰り返すことで信頼性を高め、来るべき「本番」に備えているのです。
3. ポイント3:将来の狙いは「選挙の世論誘導」
この巨大ネットワークの最終的な目的は何なのでしょうか。@Dirg_rocketdyne氏は、その狙いが将来の選挙における世論誘導であるという仮説を立てています。
育成された膨大な数のアカウントを使い、特定の時期に一斉にプロパガンダを拡散したり、特定の意見が多数派であるかのように見せかけたりすることで、世論を特定の方向に導こうとしているというのです。特に、今後の衆議院選挙がそのターゲットになるのではないかと懸念されています。数万規模のボットが一斉に特定のハッシュタグを使用すれば、人為的にトピックを「トレンド」入りさせ、広範な世論が形成されているかのような幻想を作り出すことが可能になります。
現在は無害な投稿でアルゴリズムを欺き、アカウントの信頼性を「洗浄」している段階に過ぎない。本番である選挙が近づけば、このサイレントな「準備軍」は一斉に牙を剥き、プロパガンダと世論誘導のツールと化すだろう。
この警告は、私たちがオンラインで目にする情報がいかに組織的に操作されうるかという現実を突きつけています。
結論
今回明らかになったボットネットワークは、以下の3つの特徴を持っています。
- 「ねずみ講」式の構造で際限なく増殖し、摘発に強い巨大ネットワーク
- 「ワードサラダ」による無害な投稿でアカウントの信頼スコアを上げる準備段階
- 将来の選挙で世論を操作するという最終目的
普段何気なく見ているタイムラインの裏側では、このような大規模な情報操作の準備が着々と進んでいるのかもしれません。
私たちの見ている「トレンド」や「世論」は、一体どこまでが本物なのでしょうか? この問いは、デジタル社会を生きる私たち全員にとって、ますます重要な意味を持つことになるでしょう。
【図解】Xにおける巨大ボットネットワークの解剖
















コメント