『デパートへ行こう!』 真保 祐一
『ゼフィラム』 楡 周平
『ダブル・ジョーカー』 柳 広司
『無理』 奥田 英朗
奥田英朗さんの『無理』は『邪魔』『最悪』などと同じように主人公に襲いかかる不幸というか、負の連鎖で精神的に追いつめられていく話。主役は5人で、それぞれに今の社会問題に直面しているから、人ごとではないし笑えない。合併した地方都市で繰り広げられる物語で、5人が別々の問題を抱えながらどこかで繋がりが出来ている。途中までは良かったのだが話が佳境に入ってくると強引に感じに話をまとめに掛かっているように感じた。風呂敷を広げ過ぎてしまった感は否めないね。出来れば2段組でもっと話を長くしてくれたら良かったかも。追いつめられる感は「さすが」でした。前2作が良かっただけに期待しすぎてしまったな。
『ジョーカー・ゲーム』に続く『ダブル・ジョーカー』はやっぱり面白い。連作ではない短編だが、D機関というスパイ組織を暗躍を絶妙に描かれている。主題のダブル・ジョーカーとブラックバードではD機関が主になっているが、他の3作では影になって見えない。読み手としてはいつD機関が現れるのかと期待しているがとうとう現れないで終わってしまう作品もある。これは、面白かった。
久しぶりに真保祐一氏の作品を読んだ。『デパートへ行こう!』は日本橋にある老舗デパートでの話。このデパートにゆかりのある人間がそれぞれの事情を抱えて集まった。デパート不況時代を反映するような話でちょっと暗い面はあるが、ほろりとされられる場面も。デパートって何でも揃っていていいけど、今では時代遅れの感もあるからね。
『ゼフフィラム』は自動車メーカーのエコカー製造秘話といった感じかな。ちょっと説教くさくて小説と言うよりはドキュメントっぽい。楡 周平は好きな作家なんですが当たりはずれがハッキリしているね。
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