『恋』 小池真理子

 1972年冬。全国を震撼させた浅間山荘事件の蔭で、一人の女が引き起こした発砲事件。当時学生だった布美子は、大学助教授・片瀬と妻の雛子との奔放な結びつきに惹かれ、倒錯した関係に陥っていく。が、一人の青年の出現によって生じた軋みが三人の微妙な均衡に悲劇をもたらした…。全編を覆う官能と虚無感。その奥底に漂う静謐な熱情を綴り、小池文学の頂点を極めた直木賞受賞作。


 冒頭は主人公・布美子の葬儀の場面から始まる。『無伴奏』から続く恋愛小説3部作の2作目で直木賞受賞作。どんな話なのか期待して読んだ。思いも寄らぬ展開に戸惑いながらも読み続けると徐々に全貌が明らかになってきて、最後は悲しい結末に。読み終わってみると前半で話が見えなかった部分が見えてきた。もう一度、最初から読んでみると布美子が真実を語る場面で涙が止まらなくなった。
 女流作家の作品はあまり読まないが、これは面白いと思った。もう、1回読み返してみると違った風景に見えるかもしれない。それほど、面白い作品でした。
恋 (新潮文庫)

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