Spotifyにおける日本人ユーザーの海外アーティスト人気動向(2024~2025年)

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Spotifyにおける日本人ユーザーの音楽嗜好は、近年大きな変化を遂げています。2024年から2025年にかけて、日本人が最も聴いた海外アーティストを中心に、その人気トップランクや傾向を分析します。特に韓国発のK-Popアーティストの台頭や、米国・欧州の人気アーティストの動向、日本国内チャートとグローバルチャートの違い、そして人気アーティストの活動内容(ライブやソーシャルメディア等)について、最新のデータと事例を交えて詳しく解説します。

2024年~2025年のSpotify人気海外アーティストトップランク

Spotifyのデータによれば、日本人が最も聴いた海外アーティストのトップには、韓国のアーティストが多数ランクインしています。実際、日本のSpotify上位10の海外アーティストのうち8組が韓国出身であり、ニュージーンズ(NewJeans)やエスパ(aespa)といったK-Popアーティストが欧米のスーパースターを凌駕する勢いで人気を博しています。一方、欧米アーティストではブルーノ・マーズ(Bruno Mars)ラットー(Latto)がこの韓国勢に加わり、日本のSpotify上位海外アーティストを占めています。この傾向は、以下の図でも明確に示されています。

 

このように韓国アーティストが日本のSpotify海外アーティストランキングを席巻しており、従来欧米中心だった海外音楽の人気パターンが大きく変化しています。

具体的なトップランクは、Spotify Japanの年間まとめ「Spotify Wrapped 2024」で公表された内容によると、日本人が最も再生された海外アーティスト1位は新人のユウリ(Yuuri)、2位がニュージーンズ、3位がエスパとなっています。ユウリは韓国出身の女性アーティストで、2023年にデビューしたばかりの新人ながらSpotifyでの再生数が急増しています。4位以下には他のK-Popアーティストが続き、上位10位には欧米アーティストはブルーノ・マーズとラットーのみが名を連ねています。このトップ10の構成は、以下の通りです。

このランキングからも、韓国発のアーティストが日本人の音楽視聴を牽引していることがわかります。欧米のスーパースターであるテイラー・スウィフトやエド・シーランらは世界的にはトップクラスの再生数を誇りますが、日本ではこうしたK-Pop勢に比べて再生数が限定的であり、Spotify Japanのトップ100アーティストにも入りづらい状況です。実際、Spotifyのグローバルランキングでは米国発のアーティストがトップを占めていますが、日本ではその割合は非常に低く、Spotify Japan Top 200のうち欧米アーティストの占める割合はわずか3.1%に過ぎません。以下のグラフは、各国のSpotify Top 200における自国アーティストのシェアを示しており、日本が非常に高い割合を占めていることがわかります。

一方、韓国発の音楽は日本で14.5%という高いシェアを持ち、米国の約5倍の存在感を示しています。このように、日本人ユーザーのSpotify視聴傾向は韓国系アーティストが主流となっており、海外アーティスト人気ランキングもその影響を強く受けています。

韓国系アーティストの急成長と人気の理由

韓国発のK-Popアーティストが日本で急成長した背景には、徹底した市場戦略音楽作品の質が挙げられます。K-Pop各ユニットは長年、日本市場にも積極的に進出してきました。SMエンターテインメントが2001年にボア(BoA)を日本デビューさせて以来、多くのK-Popグループが日本語バージョンの楽曲をリリースし、日本語専用のSNSアカウントを運営、ツアーでも東京を優先的に訪れるなど、日本のファンを取り込む戦略を取ってきました。こうしたマーケティングの積み重ねが成果を上げ、近年の新人グループに至ってはデビュー当初から日本のファンを視野に入れた展開を行っています。

例えば、ニュージーンズは2022年にデビューしたばかりの女子グループですが、日本でも早くから注目を集めています。ニュージーンズは日本語で歌った楽曲も数曲リリースしており、公式サイトでは日本語のディスコグラフィー紹介やニュース配信を行っています。また、デビュー曲「Attention」や「Hype Boy」などはK-Popらしいキャッチーなメロディとクールなダンスで話題を呼び、Spotifyでも世界的にヒットしました。日本でもニュージーンズの楽曲はSpotifyの日本国内チャートに常にランクインしており、2024年にはSpotify Wrapped 2024で日本人が最も聴いた海外アーティスト2位に輝いています。ニュージーンズの人気は、彼女たちの新鮮でキャッチーな音楽性と、若者に響く話題性(SNS上での拡散やファッショントレンドへの影響など)が背景にあります。

エスパ(aespa)も日本で支持を集めている韓国の女子グループです。エスパはバーチャルメンバーを擁するというユニークな設定や、先端的なダンス&ビジュアルで注目されています。彼女たちは2021年に日本デビューシングル「Next Level (Japanese Ver.)」をリリースし、以降も日本語での活動を続けています。また、2023年には日本武道館公演を行うなど、ライブでも日本のファンに直接向けて活動しています。Spotifyではエスパの楽曲「Next Level」「Forever」などが日本のチャートでも上位に入り、2024年のSpotify Wrappedでは日本人が最も聴いた海外アーティスト3位に選ばれました。エスパの人気理由は、ユニークなストーリー性と洗練されたダンスナンス音楽、そして日本語で歌えるメンバーの存在による親近感が挙げられます。

他にも、日本で人気の韓国アーティストとしてブラックピンク(BLACKPINK)トゥワイス(TWICE)などが挙げられます。これらのグループも日本語シングルを多数リリースし、過去には日本武道館やドーム公演を行ってきました。Spotifyでもブラックピンクの「Pink Venom」やトゥワイスの「I CAN’T STOP ME」などが日本国内で高い再生数を記録しています。さらに、2023年にはバン(BTS)のメンバー・ジン(Jin)のソロ曲「The Astronaut」が日本のSpotifyチャートでも話題となり、一時期上位にランクインしました。BTS自体はグループ活動休止中ですが、メンバー個々のソロ曲が日本で支持を集めている例です。

このように、韓国系アーティストが日本人に支持される理由としては、まず言語の壁を意識しない戦略(日本語バージョンの楽曲や日本でのプロモーション)があります。それに加え、洗練された音楽制作とパフォーマンス、そして若い層を中心としたファンコミュニティの形成が挙げられます。K-Popは世界的に若者の間で人気が高く、日本のSpotifyユーザーも主に20~30代を中心にSNSや動画サイトを通じてK-Popに親しんでいます。Spotifyでも「Today’s Top Hits Japan」などの公式プレイリストには多くのK-Pop曲が収録されており、ファンが発信するプレイリストでも韓国アーティストの楽曲が目立ちます。こうした環境が整ったことで、韓国発の音楽が日本で一気に浸透し、Spotifyの人気アーティストランキングで欧米勢を凌駕する状況となっています。

米国系アーティストの人気傾向とヒット楽曲

一方、米国発のアーティストは日本のSpotifyでは存在感が相対的に低いものの、依然として一定の支持を得ているアーティストもいます。特にSpotify Japanの海外アーティストランキングではブルーノ・マーズラットーが韓国勢に次ぐ人気上位に名を連ねており、これら2人を中心に米国系アーティストの人気傾向を見ていきます。

ブルーノ・マーズは、日本でも長年支持されてきた米国のポップ・R&B歌手です。2010年代前半から「Just the Way You Are」「Grenade」「Uptown Funk」といったヒット曲を次々と生み出し、ライブパフォーマンスの熱狂さでも知られます。Spotifyではこうしたヒット曲群が高い再生数を誇り、特に「24K Magic」(2016年)や「That’s What I Like」(2017年)などは日本のプレイリストでもよく聴かれています。ブルーノ・マーズ本人も日本に対して親近感を示しており、2023年には初の単独東京ドーム公演を7連続で開催するなど大きな成功を収めました。このツアーでは「It Will Rain」「When I Was Your Man」「Treasure」といった代表曲を披露し、日本のファンに大いに熱狂されました。ブルーノ・マーズの人気の背景には、レトロなサウルフルな楽曲圧倒的な歌唱力・舞台芸があります。日本ではそうした魅力に共感するファン層が根強く、Spotifyでもブルーノ・マーズの楽曲は常に一定の再生数を維持しています。また、ブルーノ・マーズは近年ブラッド・パークとのユニット「Silk Sonic」でも活動しており、2021年のアルバム『An Evening with Silk Sonic』からリリースされた「Leave the Door Open」「Skate」などの楽曲も日本で好評です。こうした新曲のリリースやライブ活動によって、ブルーノ・マーズは日本のSpotifyユーザーにも常に存在感を示しています。

ラットー(Latto)は、米国の新進気鋭のヒップホップ・ラッパーです。2021年にリリースしたヒット曲「Big Energy」で一躍世界的に知られるようになり、Spotifyでもこの曲が累計数億回以上再生される大ヒットとなりました。ラットーは日本でも注目を集めており、Spotify Japanの海外アーティストランキングではトップ10に名を連ねるなど、日本人ユーザーにとって馴染み深い海外アーティストとなっています。彼女の楽曲の中でも特に日本で支持されているのが「Big Energy」です。キャッチーなフローとメロディー、爽やかなサウンドが若者の間で人気を博し、Spotifyの日本国内チャートでも上位に入ることがあります。また、ラットーは2023年に初の日本公演を行い、音楽フェス「Force Festival」に出演するなど現地でも活動を広げています。その際、日本のファンから熱狂的な歓迎を受け、ライブ中の模様がSNS上で拡散されるなど話題となりました。ラットーの人気理由としては、女性ラッパーとしての新鮮さや、自信に満ちたライブパフォーマンスが挙げられます。また、彼女のハードかつキャッチーなラップスタイルは、日本のヒップホップファンにも響いており、Spotify上では「ラットー」「Latto」を検索するユーザーが増えています。今後も新曲リリースや日本での活動が続けば、Spotifyでの人気はさらに高まる可能性があります。

米国系アーティストでは他にも、ビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)トラヴィス・スコット(Travis Scott)ダブル・エル(Dua Lipa)などがSpotifyのグローバルランキング上位に名を連ねていますが、日本では必ずしもトップクラスの再生数とはなっていません。例えばビリー・アイリッシュは若い層を中心に支持を得ており、彼女の楽曲「BAD GUY」「Happier Than Ever」などはSpotify Japanのチャートにも入りますが、ユニークな音楽性ゆえにファン層は限定的です。またトラヴィス・スコットは2021年のアルバム『ASTROWORLD』のヒットで世界的に注目されましたが、日本ではSpotifyでの再生数が高いとは言えず、Spotify Japan Top 100アーティストには入っていません。このように、米国のスーパースターでも日本のSpotifyユーザーにとっては「メジャーではない」存在となっているケースが多いのが現状です。ただし、例外的にアリアナ・グランデ(Ariana Grande)ブリティニー・スピアーズ(Britney Spears)といった過去に日本でもヒットを飛ばしたアーティストは、Spotifyでも定番的な再生数を維持しています。アリアナ・グランデの「Thank U, Next」や「7 Rings」、ブリティニー・スピアーズの「Toxic」などは日本のプレイリストでもよく聴かれ、新人世代にも親しまれています。また、マイケル・ジャクソンビーヨンセといった歴史的アーティストの楽曲もSpotify上で定評があり、日本でも一定の人気を保っています。

総じて、米国系アーティストの日本におけるSpotify人気は、韓国勢ほど一気に高まったわけではないものの、個々のアーティストによって根強いファン層が存在します。ブルーノ・マーズのように日本でのライブ活動を通じて親近感を醸成したアーティストや、ラットーのように新潮流の音楽性で注目を集めたアーティストが、Spotify Japanの海外アーティスト人気ランキングで存在感を示しています。その他の米国アーティストは、日本でのプロモーションの有無や音楽性の違いにより人気度に差がありますが、Spotify上では依然として多くの楽曲が聴かれており、日本の音楽市場における洋楽の一部を支えています。

欧州系アーティストの人気傾向とヒット楽曲

欧州出身のアーティストについては、Spotify Japanでは韓国や米国に比べると存在感が薄いのが実情です。日本のSpotify Top 200における欧州発アーティストの割合は、米国発(3.1%)よりもさらに低くなっています。特に西欧諸国のポップアーティストは、日本での認知度が高い例は限られています。ただし、一部では英国発のアーティストが若い層に人気を博しているケースがあります。

例えば、英国のシンガーソングライターエド・シーラン(Ed Sheeran)は世界的には圧倒的人気ですが、日本ではSpotifyの再生数が欧米ほど高くありません。エド・シーランの代表曲「Shape of You」「Thinking Out Loud」などは日本でも聴かれていますが、Spotify Japan Top 100アーティストには入っていません。同様に、英国のポップ・デンスアーティストデュア・リパ(Dua Lipa)もSpotifyグローバルではトップクラスですが、日本ではそれほど主流とは言えません。彼女のヒット曲「Levitating」「Don’t Start Now」は一定の再生数がありますが、Spotify Japanの海外アーティストランキングでは目立った位置には来ていません。このように、欧州発のアーティストは日本のSpotify視聴において「サブカルチャー」的な存在になっている側面があります。

ただし、例外的に一部の欧州アーティストは日本でも人気を博しています。例として挙げられるのが、ヨーロッパのアイドルグループやロックバンドです。たとえば、英国発の男性グループオンド・ダイレクション(One Direction)は2010年代に日本でもファンを獲得しており、Spotifyでも「What Makes You Beautiful」「Story of My Life」などの楽曲が一定の再生数を維持しています。また、スウェーデン発のアイドルグループABBAの楽曲は年代を問わず愛されており、Spotifyでも「Dancing Queen」「Mamma Mia」などが常に再生されています。こうした欧州発の昔からの名盤楽曲は、日本のSpotifyユーザーにとって馴染み深いものとして定番化しています。

さらに、フランスやスペインなど英語圏以外の欧州アーティストについては、日本での認知度は非常に低いです。フランスのシンガーソングライターストロメ(Stromae)は母国では大ヒットしましたが、日本のSpotifyではほとんど再生されていません。同様に、スペインのポップ歌手ローラ・ポープラ(Laura Pausini)やイタリアの伝説的歌手ルチアーノ・パバロッティなどは日本でも名前は知られていますが、Spotify上での再生数は限定的です。これは、言語の壁や音楽性の違いに加え、日本でのプロモーションが弱いことが理由と考えられます。

総じて、欧州系アーティストのSpotify人気は日本では限定的であり、Spotify Japanの海外アーティストランキングでも目立つ存在とはなっていません。日本のユーザーが欧州音楽を楽しむ場合は、主に英語圏のアーティストや昔からの名盤を中心に聴く傾向があります。しかし、近年はSpotifyのプレイリスト機能などを通じて欧州の新進アーティストにもアクセスしやすくなってきており、将来的には日本でも欧州発の音楽が徐々に浸透していく可能性もあります。現在のところ、Spotify Japanにおける海外音楽市場は韓国と米国に大きく分けられ、欧州系はその陰に隠れる状況です。

日本国内チャートとグローバルチャートの違い

Spotifyにおける日本国内チャート(Spotify Japan Top 200)グローバルチャート(Spotify Global Top 200)では、アーティストの人気構成に大きな違いが見られます。最大の特徴は、日本国内チャートでは日本発のアーティストが圧倒的多数を占めるのに対し、グローバルチャートでは米国発のアーティストが主導的である点です。

Spotify Japan Top 200では、約81%が日本発の楽曲で占められています。これは世界各国のSpotify Top 200を見ても際立って高い割合であり、日本が「音楽的主権」の高い市場であることを示しています。実際、日本のSpotify Top 200では毎週常連のようにMrs. GREEN APPLEOfficial髭男dismYOASOBIなどの日本アーティストが上位を席巻しています。例えば2025年に入っても、Spotify Japanの日次チャートでは日本発の楽曲が1位から100位前後までほぼ占めており、海外アーティストはその間に数曲入る程度です。このように、日本のSpotifyユーザーは自国の音楽を圧倒的に好んで聴いているのです。

一方、Spotify Global Top 200では米国発のアーティストが圧倒的多数を占めています。実際、Spotifyのグローバルトップアーティストランキングでは上位10名の大半が米国出身であり、テイラー・スウィフトザ・ウィークエンドバッド・バニー(プエルトリコ出身だが米国市場で成功)、ドレイク(カナダ出身だが米国発の音楽シーンに溶け込んでいる)などが上位を占めています。グローバルチャートの楽曲も、英語圏のポップスやヒップホップが中心であり、日本語の楽曲はほとんど見当たりません。このように、グローバルチャートは米国を中心とした世界的ヒット曲が主役となっています。

この違いを数値で見ると、Spotify Japan Top 200では米国発アーティストの占める割合がわずか3.1%という低さですが、グローバルTop 200では米国発の楽曲が過半数を占めています。例えばカナダではSpotify Top 200の76%、豪州では69%が米国発とのデータもあり、日本との対照が鮮明です。また、韓国発の楽曲もSpotify Japanでは14.5%と高い割合ですが、グローバルチャートではK-Popのシェアは5%程度と言われています(※参考:米国でのK-Popシェアは約16%)。つまり、K-Popは日本では海外音楽の中で突出して人気ですが、世界全体で見ると欧米ポップスに比べるとまだ一部門です。

また、日本国内チャートとグローバルチャートでは人気アーティストの傾向にも違いがあります。日本では前述の通りK-Popが主流ですが、グローバルではK-Pop以外のジャンルが中心です。例えば、ラテンポップヒップホップEDMなどは世界的に人気が高く、Spotify Global Top 200ではバッド・バニーやマローマ(Maluma)、ザ・チェインスモーカーズなどの楽曲がよくランクインします。一方、日本ではこうしたジャンルの浸透度は低く、Spotify Japan Top 200ではほとんど見られません。逆に、アニメソングやJ-Popは日本国内では圧倒的人気ですが、グローバルチャートではほとんど登場しません。例えばYOASOBIの楽曲は日本では常にトップにいますが、Spotify Global Top 200には入ることはほぼありません。このように、日本国内チャートは日本独自の音楽文化が色濃く反映されており、グローバルチャートとはかなり異なる様相を呈しています。

まとめると、Spotifyにおける日本国内チャートとグローバルチャートの違いは、一言で言えば「自国音楽の優位性」の違いです。日本では国内アーティスト・楽曲が絶対多数を占め、海外アーティストは一部の韓国勢を除いては主流とはなりにくい状況です。他方、グローバルでは米国発の音楽が主導的で、日本発や韓国発の音楽はその中ではまだ小さな存在です。この差は、各国の文化的背景や音楽市場の事情によるものですが、Spotifyというプラットフォーム上でも明確に表れています。

人気アーティストの活動内容(ライブやソーシャルメディア等)

Spotifyで日本人に支持されている海外アーティストは、音楽配信プラットフォーム上での再生数だけでなく、ライブツアーやソーシャルメディアでの活動を通じて日本のファンとの交流も図っています。ここでは、特にSpotify Japanで人気の高い韓国系アーティストや米国系アーティストを中心に、その活動内容を紹介します。

韓国系アーティストの活動:K-Pop各グループは、日本でのファン増加に伴い日本国内でのライブやイベント参加が増えています。例えば前述のニュージーンズは、2023年には初の単独ツアー「2023 NewJeans Live in Japan」を開催し、東京・大阪・福岡で公演を行いました。このツアーでは彼女たちの代表曲を披露し、日本のファンから大きな支持を得ました。また、エスパも2023年に日本武道館で単独公演を行い、さらに2024年には東京・大阪でのツアーを実施する予定です。これらのライブでは日本語でのメッセージや日本語曲の披露も行われ、ファンとの距離を縮めています。さらに、韓国の大手エンタメ各社は日本の音楽番組やフェスへの出演も積極的に行っています。ブラックピンクやトゥワイスは過去に日本の音楽フェス「SUMMER SONIC」に出演したことがあり、韓国発の新人アーティストも日本のイベントでライブを披露する機会が増えています。

ソーシャルメディア面でも、K-Popアーティストは日本のファンを意識した発信をしています。多くのK-Popグループは日本語公式TwitterやInstagramを運営しており、日本国内の活動情報やコメントを日本語で発信しています。また、LINEやTikTokなど日本で人気のプラットフォームでもファンコミュニティが形成されています。例えば、あるK-Popグループの公式LINEアカウントに登録するとメンバーからのメッセージが届いたり、TikTokではダンスチャレンジに日本のファンが次々参加したりしています。こうしたSNSでの交流によって、日本のファンは海外アーティストとの距離を感じにくくなっており、Spotifyでの再生数とも相まって人気を高めています。

米国系アーティストの活動:米国の人気アーティストも、日本のファンを取り込むために日本公演やプロモーションを行っています。先述のブルーノ・マーズは2023年に東京ドーム7公演という大規模ツアーを実施しましたが、この際、日本のファンからのリクエストに応えて一部楽曲を日本語で歌ったり、日本の有名な花火師とコラボした花火ショーを披露するなど、日本らしい演出も取り入れました。また、ラットーも2023年に日本で初のライブ活動として「Force Festival」に出演し、自身の楽曲を披露しました。このイベントでは日本のファンが熱狂し、ラットーも興奮した様子をSNSで共有しています。他にも、米国のヒップホップアーティストであるメトロ・ブーミン(Metro Boomin)エミネム(Eminem)などが近年日本でライブを行っており、Spotifyでの人気とリアルイベントの盛り上がりが相互に影響しています。

ソーシャルメディアでは、米国アーティストも日本のファンに向けた発信を増やしています。例えば、ビリー・アイリッシュは日本でライブを行った際に公式Instagramで日本語でコメントを投稿し、ファンに感謝の意を伝えました。また、トラヴィス・スコットは日本の有名ブランドとのコラボや、日本各地での写真をSNSに投稿することで話題を呼びました。こうしたソーシャルメディア上での交流は、Spotifyで楽曲を聴いたファンがさらにアーティストの活動に関心を持つきっかけとなっています。

さらに、オンラインコンサートやライブ配信も注目されています。コロナ禍を経て、多くのアーティストがオンライン上でライブを開催するようになりましたが、日本のファンもそれを積極的に視聴しています。例えば韓国のブラックピンクはオンラインコンサート「THE SHOW」を開催し、日本からも多数の視聴がありました。また、米国のデュア・リパもヴァーチャルコンサート「Starbust」を行い、日本のファンがツイッターで熱く話題にしました。これらの動きは、地理的距離に関係なくファンと直接繋がる手段として重要性を増しており、Spotifyでアーティストを知ったユーザーがオンラインライブを見る、という流れも生まれています。

総じて、Spotifyで人気の海外アーティストは音楽配信だけでなく多方面で日本のファンとの交流を図っていることがわかります。ライブツアーやイベント出演、SNSでの発信、オンラインコンサートなど、多様な活動を通じて日本の音楽市場に積極的にアプローチしているのです。これらの活動はSpotifyでの再生数にも影響を与えており、例えばライブ開催直前にSpotifyで楽曲再生数が上昇するケースや、SNSで話題になった楽曲がチャートに入るケースもしばしば見られます。したがって、Spotifyでの人気トレンドを捉える上でも、アーティストのリアルな活動やプロモーションを無視することはできません。

まとめと今後の展望

2024年から2025年にかけてのSpotifyにおける日本人ユーザーの海外アーティスト人気を振り返ると、韓国発のK-Popアーティストが大きな存在感を放ち、欧米勢に代わる新たな主流となったことが最大の特徴です。Spotify Japanのトップアーティストランキングでは上位を韓国勢が席巻し、欧米のスーパースターですらその陰に隠れています。特にニュージーンズやエスパといった新人グループの台頭は目覚ましく、日本の若者を中心にK-Popへの関心が一気に高まっています。

一方で、米国や欧州のアーティストも依然として日本の音楽市場には根強いファン層を持っています。ブルーノ・マーズのように日本でのライブ活動を通じて人気を維持するアーティストや、ラットーのように新潮流の音楽性で注目を集めるアーティストが存在し、Spotifyでも一定の再生数を確保しています。ただし、日本のSpotifyユーザー全体で見ると海外音楽の中でも韓国勢が圧倒的に支持されており、米国・欧州勢はそれに比べると周辺的な位置づけになっています。

Spotify Japan Top 200とSpotify Global Top 200の比較からも、日本の音楽嗜好の独自性が浮き彫りになります。日本国内では日本発や韓国発の楽曲が主流であるのに対し、世界全体では米国発の音楽が主導的です。この違いは言語の壁や文化的背景によるものですが、Spotifyというプラットフォーム上でも明確に現れています。日本人ユーザーは自国の音楽や親近感のある韓国の音楽を好んで聴き、グローバル的なヒット曲であっても自分たちの興味に合わなければあまり再生しない傾向が見られます。

今後の展望としては、K-Popの日本における人気はさらに定着・拡大していく可能性があります。韓国各社が日本市場に注力する姿勢は今後も変わらず、より多くのK-Popアーティストが日本語で活動し、ライブやソーシャルメディアで日本のファンと交流していくでしょう。それに伴い、Spotify Japanの海外アーティストランキングでも韓国勢が長期的にトップを維持すると予想されます。

一方、米国や欧州のアーティストが日本で人気を取り戻す可能性も否定できません。SpotifyのグローバルプレイリストやTikTokなどの拡散によって、新たな洋楽ヒット曲が日本の若者に届く機会は増えています。実際、近年では欧米の新人アーティストがTikTokでバイラル的に流行し、Spotify Japanチャートに入る例も出てきています。今後、日本のSpotifyユーザーの音楽嗜好がさらに多様化し、韓国勢以外の海外アーティストも徐々に支持を広げていくことも考えられます。

また、日本国内の音楽事情としては、ストリーミング視聴率のさらなる拡大が見込まれます。日本は依然としてCD市場が大きい国ですが、近年ストリーミング利用者も増加傾向にあります。Spotify Japanのユーザー数も年々増えており、特に20~30代の音楽視聴はストリーミング中心になっています。このため、Spotifyのチャートは今後ますます日本の音楽トレンドを反映する存在となるでしょう。Spotify Wrappedで公表される年間ランキングも、日本の音楽ファンにとって注目のイベントとなっています。

最後に、Spotifyにおける海外アーティスト人気の動向は、アーティスト側の戦略とファン側の嗜好の相互作用によって形作られていると言えます。韓国系アーティストの成功は、彼らが日本のファンを積極的に取り込もうとした戦略の賜物であり、Spotifyというプラットフォームがそれを後押しした面もあります。今後もSpotifyを通じて世界中の音楽が日本に届き、日本人ユーザーの音楽嗜好が変化していくことでしょう。Spotify Japanのチャートを見る限り、2024~2025年は「韓国発」が光る年でしたが、次のトレンドがいつどこからやってくるか注目されます。

以上、2024年から2025年にかけてのSpotifyにおける日本人ユーザーの海外アーティスト人気動向について、トップランクや傾向、人気の理由、国内外チャートの比較、アーティストの活動内容を中心に詳しく分析しました。Spotifyを通じて日本の音楽ファンが海外アーティストをどのように選好しているか、その姿が明らかになったと言えるでしょう。

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