この作品で直木賞を受賞。シリーズ4作目だけあって完成度が高い。新種の覚醒剤アイスキャンディというアイデアといい、鮫島の恋人晶が危機にさらされるといい、緊迫感があって面白い。麻薬というと暴力団の資金源だが、これを追いかけるのは警察だけではなく麻薬取締官という厚生労働省管轄の部署が担当。現場を押さえるのが警察なら、根本を抑えるのが麻薬取締官。この2つの組織の確執がなかなか面白く書かれている。また、今回はマンジュウこと鮫島の上司桃井警部との会話が多かった。話が長いので最後は尻切れ蜻蛉になってしまったが、どうせここまで書いたならキッチリ話をつけてもよかったのでは。まあ、次に続くようにしてあるのかもしれないけど。
【登場人物】
鮫島 通称「新宿鮫」、新宿署防犯課、警部
桃井 鮫島の上司、新宿署防犯課、警部
藪 新宿署の鑑識係員
板見 麻薬取締官 苫野の上司
苫野修 麻薬取締官主任
下居 警視庁保安二課、警部補
青木晶 鮫島の恋人、ロックバンド「フーズ・ハニイ」のボーカル
香川昇 香川家分家長男
香川進 香川家分家次男(原田)
香川景子 香川家本家長女
国前耕二 元晶のバンドメンバー
平瀬直美 耕二の同級生、元暴走族、元暴力団
石渡照久 平瀬の知り合い
角 関東共栄会藤野組
佐瀬 関東共栄会藤野組
沙貴 陰山真子、ホステス
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