あなたは企業型?個人型?
まずは自分がどの立場かを整理してみましょう
確定拠出年金という言葉を調べ始めたとき、多くの人が最初に混乱するのは、制度そのものが難しいからではありません。言葉が似ていて、自分がどれに当てはまるのかが見えにくいからです。
企業型、iDeCo、個人型、企業年金。こうした言葉が並ぶと、まるで別々の制度がたくさんあるように見えます。けれど、最初に押さえておきたいのは、確定拠出年金は大きく分ければ「会社が用意するもの」と「自分で入るもの」の二つだということです。この区別だけでも、かなり見通しがよくなります。
まず、会社に勤めている人の中には、勤務先が確定拠出年金の制度を用意している場合があります。この場合は、会社が制度を導入していて、その仕組みの中で老後資金を積み立てていくことになります。これが企業型確定拠出年金です。自分で勝手に申し込むというより、勤務先の制度として存在しているかどうかが出発点になります。つまり、会社員であっても、すべての人が企業型に入っているわけではありません。自分の勤務先にその制度があるかどうかで、まず分かれます。
一方で、会社にそうした制度がない人や、自分で老後資金を準備したいと考える人が利用するのがiDeCoです。iDeCoは個人型確定拠出年金の愛称で、会社ではなく、自分自身が加入を決めて始める制度です。掛金も自分で出し、運用商品も自分で選びます。同じ確定拠出年金の仲間ではありますが、企業型とは入口が違います。会社が用意するか、自分で始めるか。この違いが、いちばん分かりやすい見分け方です。
ここで、「自分は会社員だから企業型なのでは」と思う人もいるかもしれません。ですが、そこは少し注意が必要です。会社員というだけでは、企業型かどうかは決まりません。勤務先に制度がなければ、企業型ではありません。逆に、勤務先に制度があっても、自分ではその内容をよく知らないまま加入しているケースもあります。給与明細や会社の福利厚生資料、人事からの案内などを見て初めて、「実は企業型DCに入っていた」と気づく人もいます。
また、「iDeCoは会社員以外の人の制度なのか」と思われることもありますが、そうでもありません。iDeCoは自営業の人だけのものではなく、会社員や公務員、専業主婦(夫)など、一定の条件を満たす人であれば対象になる制度です。つまり、会社員だからiDeCoは関係ない、という考え方も正確ではありません。勤務先の制度状況によっては、会社員でもiDeCoを検討する場面があります。
こうして見ると、難しそうに見えた制度も、実は順番に考えればそれほど複雑ではありません。まず確認したいのは、「勤務先に企業型確定拠出年金があるかどうか」です。ここが最初の分かれ道になります。勤務先に制度があるなら、まずは企業型の内容を確認することが先になります。勤務先に制度がないなら、次に考えるのはiDeCoです。つまり、制度名を覚える前に、自分の立場を整理することのほうが大切なのです。
たとえば、自営業の人であれば、基本的には会社が制度を用意するわけではないため、考える中心はiDeCoになります。専業主婦(夫)の場合も同じで、企業型を前提にするというより、自分がiDeCoの対象になるかどうかを確認する流れになります。会社員や公務員は少しだけ事情が増えますが、それでも出発点は同じです。勤務先に企業型があるかどうか。ここを見れば、大枠は整理できます。
ここで大事なのは、「今すぐ制度を完璧に理解すること」ではありません。まずは、自分がどの入口に立っているのかを把握することです。制度の細かいルールや掛金の上限、税制の違いは、そのあとで確認すれば十分です。最初から全部を読もうとすると難しく感じますが、自分の立場さえ見えれば、必要な情報だけを追えるようになります。
もし今の時点で、「自分はどれに当てはまるのか、まだ少し曖昧だ」と感じていても大丈夫です。確定拠出年金は、制度名から理解しようとすると分かりにくくなりますが、「会社が用意するか、自分で入るか」という軸で見れば、かなりすっきり整理できます。まずはそこだけ押さえておけば、次に読むべき内容も自然に見えてきます。
次のページでは、さらに一歩進めて、「会社員」「公務員」「自営業」「専業主婦(夫)」といった立場ごとに、どの制度が関係してくるのかを、もっと具体的に整理していきます。ここまでで全体の地図をつかみ、次に自分の立場を重ねていく。そういう順番で見ていくと、確定拠出年金は思っているよりずっと理解しやすい制度です。
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