iDeCoは始めたあとに変更できるのか?
掛金額の見直しと、商品のスイッチングをやさしく解説
iDeCoを始める前に身構えてしまう人が多いのは、「一度決めたら、もう変えられないのではないか」と感じるからです。掛金額も、運用商品も、最初の選択がすべてだと思うと、それだけで動きにくくなります。けれど実際には、iDeCoは始めたあとに見直しができる制度です。掛金額は条件に沿って変更できますし、運用商品の配分も変えられます。さらに、すでに持っている商品を別の商品へ移す、いわゆるスイッチング、正式には「預け替え」も可能です。
まず掛金額についてですが、これは途中で変更できます。ただし、自由に何度でも変えられるわけではなく、iDeCo公式FAQでは、掛金額の変更は1年に1回、具体的には「12月分の掛金から翌年11月分の掛金の間に1回」に限られると案内されています。つまり、家計が少し変わったから毎月細かく調整するというより、年に一度、無理のない額へ見直す制度だと考えたほうが分かりやすいです。なお、企業型DCの事業主掛金の変動などに伴う変更は、この1回の回数に数えない扱いがあります。
この「年1回」というルールは、厳しく見えるかもしれませんが、考え方としてはむしろシンプルです。iDeCoは短期の家計調整の道具ではなく、老後資金を長く積み立てていく制度なので、細かく動かすより、続けられる水準に整えることが重視されています。iDeCo公式コラムでも、無理のない金額でコツコツ続けることが大切であり、掛金額は年1回、1,000円単位で変更できると説明されています。
一方で、掛金額を変えるのではなく、「これから先に積み立てるお金を、どの商品に何%ずつ振り分けるか」を変えたい場合があります。これは「配分変更」にあたります。たとえば、最初は投資信託を多めにしていたけれど、少し安定寄りにしたくなったので、今後の掛金の振り分けを見直す。そういうときに使うのが配分変更です。iDeCo公式の解説では、リバランスの方法として、今後の掛金の配分割合を変える「配分変更」が示されています。
ここで大事なのは、配分変更は「これから積み立てるお金」の行き先を変えるものだという点です。すでに持っている資産そのものを動かすわけではありません。たとえば、これまで積み立ててきた商品Aはそのままで、来月以降の新しい掛金だけを商品Bや商品Cへ振り分ける、というイメージです。だから、今後の方針をやわらかく修正したいときには、この配分変更が向いています。
それに対して、すでに積み立てて持っている商品そのものを別の商品へ移したいときに使うのが、スイッチング、つまり預け替えです。これは、いま保有している商品を解約して、別の商品を購入し直す動きです。iDeCo関連資料でも、運用商品の入れ替えや、他の運用商品へのスイッチング(預け替え)は可能だと示されています。つまり、過去に積み立てた資産の置き場所まで変えたいなら、配分変更ではなく、預け替えの考え方になります。
この違いは、初心者には少し分かりにくいかもしれません。けれど、やさしく言えば、「未来を変えるのが配分変更」「過去に積み立てた分も含めて動かすのがスイッチング」と考えると整理しやすいです。今後の掛金の流れだけを変えたいなら配分変更でよく、今持っている商品そのものを見直したいなら預け替えを考える、という順番です。iDeCo公式のリバランス解説でも、当初の資産配分に戻す方法として、配分変更と運用商品の入れ替えの両方が示されています。 (
では、こうした見直しは頻繁にやるべきなのかというと、そこは少し慎重に考えたほうがよいです。iDeCo公式サイトでは、年に一度は運用状況を確認することが大切だと案内しています。つまり、毎月の値動きに反応して細かく動かすより、まずは一定の間隔で状況を確認し、自分の当初の考え方から大きくずれていないかを見るほうが制度の使い方としては自然です。
iDeCoは「最初に決めたら終わり」の制度ではないということです。掛金額は年1回見直せますし、今後の積立先は配分変更で変えられます。さらに、これまで積み立てた商品も、必要ならスイッチング、預け替えで見直せます。だからこそ、最初の段階では完璧さよりも、まず始められる形で入ることのほうが大切です。あとから調整できる余地があると分かるだけで、制度への心理的なハードルはかなり下がります。
そしてもうひとつ大切なのは、見直しできるからといって、何も考えずに始めてよいわけではないということです。変更できる余地は、失敗しても大丈夫という意味ではなく、自分の生活や考え方の変化に合わせて整えていける余地です。iDeCoは、最初にすべてを当てにいく制度ではなく、長く続けながら整えていく制度だと考えると、かなり分かりやすくなります。
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