ウルトラセブン リマスター版 NHK BSプレミアム4K再放送情報と全話一覧

テレビドラマ

『ウルトラセブン』NHK・BSP4Kで2025年12月5日(金)より全48話を放送

2020年に放送された『ウルトラセブン』のリマスター版が再び放送されます。

全48話一覧(各話タイトル・内容紹介)

『ウルトラセブン』は1967年10月1日から1968年9月8日にかけて全49話放送されましたが、リマスター版では欠番となった第12話が含まれず全48話で放送されます。以下に各話のタイトルと簡単な内容を掲載します。

  • 第1話「姿なき挑戦者」(1967年10月1日放送) – 各地で人間が消える事件が相次ぐ中、謎の青年・モロボシ・ダンがウルトラ警備隊に協力。地球防衛軍の特殊噴霧装置で透明な宇宙船を可視化し、ウルトラホーク1号で宇宙人・クール星人の円盤を撃破する。ダンは正体を隠しつつウルトラ警備隊に入隊する。
  • 第2話「緑の恐怖」(1967年10月8日放送) – 地球人が植物のような姿に変化する怪事件が発生。ウルトラ警備隊の石黒隊員が異星人・ワイアール星人に奪われ、地球へと侵攻してきた。ウルトラ警備隊はパラライザー弾で怪獣・生物Xを麻痺させて退治する。
  • 第3話「湖のひみつ」(1967年10月15日放送) – 湖畔に謎の宇宙船が不時着。少女が現れるが敵のピット星人に催眠ガスをまかれてウルトラアイを奪われる。ウルトラ警備隊はカプセル怪獣・ミクラスを出動させて、怪獣・エレキングと戦う。
  • 第4話「マックス号応答せよ」(1967年10月22日放送) – 地球防衛軍の原子力船マックス号が蒸発し、乗員が失踪。ダンとソガ隊員がマックス号を探すが、反重力宇宙人・ゴドラ星人に襲われてホーク2号も失われる。ウルトラ警備隊はウルトラセブンによってゴドラ星人を倒し、失踪者を救出する。
  • 第5話「消された時間」(1967年10月29日放送) – 地球防衛軍のユシマ博士が開発したダイオードを使ってレーダーを改造しようとするが、宇宙人・ビラ星人に洗脳されてレーダーを破壊させる。ウルトラ警備隊は博士を助け、ビラ星人を退治する。
  • 第6話「ダーク・ゾーン」(1967年11月5日放送) – ダンの部屋に現れた影は、高度な科学技術を持つ宇宙人・ペガッサ星人。彼らは地球と宇宙都市ベガッサが衝突すると予告し、地球人には生き残らせないと脅す。ウルトラ警備隊はベガッサ星人を降伏させず、ベガッサ市を破壊する。
  • 第7話「宇宙囚人303」(1967年11月12日放送) – 宇宙の凶悪犯罪者キュラソ星人303号が地球に脱走し、地球防衛軍V3基地のミズノ隊員を奪われていた。キュラソ星人はアンヌ隊員を操り、ウルトラ警備隊基地の計器類を破壊する。ウルトラ警備隊はキュラソ星人を退治し、ミズノ隊員を救出する。
  • 第8話「狙われた街」(1967年11月19日放送) – ある町で列車衝突事故、タンカー爆破、ライフル乱射事件など怪奇な事件が相次ぐ。フルハシ隊員とソガ隊員も乱射事件に巻き込まれ怪我を負う。調査の末、謎の薬を混入したタバコが犯人である幻覚宇宙人・メトロン星人だったことが判明し、ウルトラセブンによって退治される。
  • 第9話「アンドロイド0指令」(1967年11月26日放送) – 宇宙人・チブル星人が開発したメカニコンドロイドを、地球防衛軍内部に仕掛ける。ウルトラ警備隊のソガ隊員がメカニコンに操られて、隊員を襲撃しようとする。ダンはメカニコンを解読し、ウルトラセブンによって退治する。
  • 第10話「怪しい隣人」(1967年12月3日放送) – アンヌ隊員の隣人が怪しい動きをし、ある日突然姿を消していた。調査の末、宇宙人・イカルス星人が地球人の姿に偽装して地球防衛軍を刺探していたことが判明。ウルトラ警備隊はイカルス星人を退治し、隣人を救出する。
  • 第11話「魔の山へ飛べ」(1967年12月10日放送) – 登山家が山で消える怪事件が相次ぐ。調査の末、登山家を捕らえていたのは宇宙竜・ナースだった。ナースは宇宙船から降り地球に侵入し、登山家を脅していた。ウルトラ警備隊はナースを退治し、登山家を救出する。
  • 第12話「遊星より愛をこめて」(1967年12月17日放送) – 放送欠番。
  • 第13話「V3から来た男」(1967年12月24日放送) – 宇宙からの電波が地球に届き、その中にウルトラ警備隊V3基地のクラタ隊長の声が聞こえる。ダンはV3基地に行って調査すると、クラタ隊長が宇宙人・アイロス星人に奪われていたことが判明。ウルトラ警備隊はアイロス星人を退治し、クラタ隊長を救出する。
  • 第14話「ウルトラ警備隊西へ 前編」(1968年1月7日放送) – アフリカのコンゴ川上流で巨大な石が見つかり、それが宇宙人・キングジョーの分身だった。キングジョーは地球防衛軍の基地を襲撃し、ウルトラ警備隊を西側へ追い込む。ウルトラ警備隊は東京に撤退し、基地を再編する。
  • 第15話「ウルトラ警備隊西へ 後編」(1968年1月14日放送) – キングジョーが東京へと進軍し、ウルトラ警備隊を包囲する。ダンはウルトラセブンに変身し、キングジョーを退治。ウルトラ警備隊は再び基地を東京に戻し、地球を守る。
  • 第16話「闇に光る目」(1968年1月21日放送) – 宇宙人・アンノンが地球に侵入し、防衛軍の作戦を覆しようとする。彼らは人間の影を操り、ウルトラ警備隊の作戦を打ち破る。ウルトラ警備隊はアンノンの影を見破り、ウルトラセブンによって退治する。
  • 第17話「地底GO!GO!GO!」(1968年1月28日放送) – 地球の地下に古代人の遺跡が発見され、そこに古代兵器があった。宇宙人・ユートムが遺跡を占拠し、地球防衛軍を攻撃する。ウルトラ警備隊は地底戦車で地底に進入し、ユートムを退治する。
  • 第18話「空間X脱出」(1968年2月4日放送) – ウルトラ警備隊のフルハシ隊員が宇宙空間Xに閉じ込められていた。ダンは宇宙パトロールでフルハシを救出するが、宇宙人・ベル星人に襲われて墜落。ウルトラ警備隊はベル星人を退治し、フルハシを救出する。
  • 第19話「プロジェクト・ブルー」(1968年2月11日放送) – ウルトラ警備隊のダンとソガ隊員がブルー計画の実験に参加し、突如として異次元空間に入り込む。調査の末、宇宙人・バド星人がブルー計画を利用して地球を攻撃しようとしていたことが判明。ウルトラ警備隊はバド星人を退治し、ブルー計画を停止する。
  • 第20話「地震源Xを倒せ」(1968年2月18日放送) – 地殻内で怪しい振動が検知され、地球防衛軍は地底を調査する。そこには怪獣・ギラドラスがいて、地殻の不安定を招いていた。ウルトラ警備隊はギラドラスを退治し、地震を防止する。
  • 第21話「海底基地を追え」(1968年2月25日放送) – 世界中で漁船や潜水艦が失踪する事件が相次ぐ。調査の末、海底に謎の基地があり、そこにいたのは宇宙人・ミミー星人だった。ウルトラ警備隊は海底基地を追い、ミミー星人を退治する。
  • 第22話「人間牧場」(1968年3月3日放送) – 子供の人間が連れ去られる怪事件が発生。調査の末、人間を捕らえていたのは宇宙人・ブラコ星人だった。ウルトラ警備隊はブラコ星人を退治し、子供たちを救出する。
  • 第23話「明日を捜せ」(1968年3月10日放送) – 霊能力を持つ青年・ヤスイが、将来に起こる怪事件を予言していた。彼が予言した場所では宇宙人・シャドー星人の謎の基地が見つかり、そこで起こる大災害を予防する。ウルトラ警備隊はシャドー星人を退治し、予言された災害を阻止する。
  • 第24話「北へ還れ!」(1968年3月17日放送) – 北極に宇宙船が迫ると報告され、ウルトラ警備隊が調査に出る。そこにいたのは宇宙人・カナン星人だった。ウルトラ警備隊はカナン星人を退治し、宇宙船を破壊する。
  • 第25話「零下140度の対決」(1968年3月24日放送) – 地球が異常な寒波に襲われ、基地が原子炉故障で停電していた。そこに現れた怪獣・ガンダーは超低温で地球を氷結させようと脅す。ウルトラ警備隊はカプセル怪獣・ウインダムを出動させ、ガンダーを退治する。
  • 第26話「超兵器R1号」(1968年3月31日放送) – 地球防衛軍は惑星破壊用の超兵器R1号を開発し、実験を行う。その実験は宇宙のギエロン星で行われ、ギエロン星は破壊されたが、その放射能で生き残ったギエロン星の生物・ギエロン星獣が地球に飛来してきた。ウルトラ警備隊はギエロン星獣を退治し、R1号の暴走を阻止する。
  • 第27話「サイボーグ作戦」(1968年4月7日放送) – ウルトラ警備隊の通信員ノガワが宇宙人・ボーグ星人に操られてサイボーグ化し、基地を襲撃する。ウルトラ警備隊はノガワを助け、ボーグ星人を退治する。
  • 第28話「700キロを突っ走れ!」(1968年4月14日放送) – ウルトラ警備隊のフルハシ隊員が、恐竜戦車の怪獣・恐竜戦車を倒すために車で700キロを突っ走る。ウルトラ警備隊は恐竜戦車を退治し、フルハシを助ける。
  • 第29話「ひとりぼっちの地球人」(1968年4月21日放送) – 地球人が宇宙人に変身し、地球防衛軍を乱す怪事件が起きた。調査の末、宇宙人・プロテ星人が地球人を変身させていたことが判明。ウルトラ警備隊はプロテ星人を退治し、変身した地球人を救う。
  • 第30話「栄光は誰れのために」(1968年4月28日放送) – ウルトラ警備隊のフルハシ隊員が、功績を挙げてもいないと感じ、自分の役割を悩んでいた。調査の末、フルハシは怪獣・ゴルドンを退治し、栄光を取り戻す。
  • 第31話「悪魔の住む花」(1968年5月5日放送) – 少女が花に毒されて悪魔になる怪事件が起きた。調査の末、花に宿る宇宙細菌・ダリーが犯人であった。ウルトラ警備隊はダリーを退治し、少女を救う。
  • 第32話「散歩する惑星」(1968年5月12日放送) – 惑星が宇宙を散歩して地球に近づくと報告された。そこにいたのは宇宙人・リッガーだった。ウルトラ警備隊はリッガーを退治し、惑星を宇宙に戻す。
  • 第33話「侵略する死者たち」(1968年5月19日放送) – 戦場で死んだ人間が復活し、ウルトラ警備隊を襲う怪事件が起きた。調査の末、蘇生怪人・シャドウマンが犯人であった。ウルトラ警備隊はシャドウマンを退治し、死者たちの魂を安らげる。
  • 第34話「蒸発都市」(1968年5月26日放送) – 街が一晩で蒸発する怪事件が起きた。調査の末、蒸発怪獣・ドンドンドンが犯人であった。ウルトラ警備隊はドンドンドンを退治し、街を救う。
  • 第35話「月世界の戦慄」(1968年6月2日放送) – 宇宙人・ザンパ星人が月に建てた基地から地球に侵入し、地球防衛軍を乱す。ウルトラ警備隊はザンパ星人を退治し、月を救う。
  • 第36話「必殺の0.1秒」(1968年6月9日放送) – ウルトラ警備隊のダンとソガ隊員が、宇宙人・ペガ星人に襲われてウルトラアイを奪われる。ウルトラ警備隊はペガ星人を退治し、ダンとソガを救う。
  • 第37話「盗まれたウルトラ・アイ」(1968年6月16日放送) – ウルトラアイが盗まれ、ウルトラセブンが変身できなくなった。調査の末、宇宙人・マゼラン星人がアイを盗んでいた。ウルトラ警備隊はマゼラン星人を退治し、アイを回収する。
  • 第38話「勇気ある戦い」(1968年6月23日放送) – 子供がウルトラ警備隊の隊員になり、怪獣・クレージーゴンを退治する。ウルトラ警備隊はクレージーゴンを退治し、子供を褒める。
  • 第39話「セブン暗殺計画〔前編〕」(1968年6月30日放送) – ウルトラ警備隊が、ウルトラセブンの暗殺計画に遭う。調査の末、宇宙人・ガッツ星人が計画を立てていたことが判明。ウルトラ警備隊はガッツ星人を退治し、ウルトラセブンを救う。
  • 第40話「セブン暗殺計画〔後編〕」(1968年7月7日放送) – ガッツ星人がウルトラセブンを暗殺しようと企てる。ウルトラ警備隊はガッツ星人を退治し、ウルトラセブンを救う。
  • 第41話「水中からの挑戦」(1968年7月14日放送) – 湖の底から怪物が現れ、ウルトラ警備隊を襲う。調査の末、湖に住む河童怪獣・コツコツコが犯人であった。ウルトラ警備隊はコツコツコを退治し、湖を救う。
  • 第42話「ノンマルトの使者」(1968年7月21日放送) – 海底に住むノンマルトという知的生命体が地球にやって来て、地球防衛軍の海底開発を止めさせる。調査の末、ノンマルトが地球人を軽んでいたことが判明。ウルトラ警備隊はノンマルトと交渉し、地球開発を続ける。
  • 第43話「第四惑星の悪夢」(1968年7月28日放送) – ダンとソガ隊員が長距離ロケットに乗り、第四惑星に行く。そこでは管理社会化された未来都市で、人間の感情や自由が排除されていた。ウルトラ警備隊はその都市を救い、自由を取り戻す。
  • 第44話「恐怖の超猿人」(1968年8月4日放送) – ゴリラのような巨大な怪獣・ゴーロンが現れ、人間を襲う。調査の末、ゴーロンは人間の影に宿る宇宙人・ゴーロン星人が操っていたことが判明。ウルトラ警備隊はゴーロン星人を退治し、ゴーロンを救う。
  • 第45話「円盤が来た」(1968年8月11日放送) – 夜、大群の円盤が空を飛び交う。調査の末、その円盤は宇宙人・ペロリンガ星人が操っていた。ウルトラ警備隊はペロリンガ星人を退治し、円盤を止める。
  • 第46話「ダン対セブンの決闘」(1968年8月18日放送) – 宇宙人・サロメ星人が、偽のウルトラセブンを作り出し、ダンを捕らえる。ウルトラ警備隊はサロメ星人を退治し、ダンを救う。
  • 第47話「あなたはだぁれ?」(1968年8月25日放送) – ウルトラ警備隊の隊員が記憶を失い、自分が誰か分からなくなる怪事件が起きた。調査の末、宇宙人・フック星人が記憶を操作していたことが判明。ウルトラ警備隊はフック星人を退治し、隊員たちの記憶を回復する。
  • 第48話「史上最大の侵略 前編」(1968年9月1日放送) – ウルトラ警備隊のダン隊員が体調を崩している中、宇宙人・ゴース星人が地球に侵攻し、地球防衛軍基地を破壊する。ウルトラ警備隊はゴース星人に降伏を迫られる。
  • 第49話「史上最大の侵略 後編」(1968年9月8日放送) – ゴース星人は地球防衛軍に降伏を迫り、降伏をすれば火星の地下都市での生存を保証すると言う。ウルトラ警備隊は抵抗せず降伏するが、ウルトラセブンはゴース星人を退治し、地球を救う。最後にウルトラセブンは地球を去る。

※※※第12話は欠番となっており、リマスター版では第11話と第13話のみを放送する。2026年1月23日(金)の放送枠では、第42話と第43話が連続放送される。

ウルトラセブンの見どころ

『ウルトラセブン』は単なる特撮ヒーロー番組を超えた“思想の特撮”とも呼ばれる名作であり、多くの面で子供向けに留まらない見どころが凝縮されています。以下ではキャラクター、主要怪獣・宇宙人、ウルトラ警備隊と科学技術、演出・映像・音楽の特徴、社会背景と時代背景の反映、そして作品の文化的影響や歴史的位置づけについて見ていきます。

キャラクター

主人公・モロボシ・ダン(森次晃嗣演)は、地球防衛軍ウルトラ警備隊の隊員として活動するウルトラセブンの変身者です。彼の正体はM78星雲光の国出身の宇宙人ウルトラセブンであり、地球に飛来して恒点観測の任務を遂げる際に、人間の青年・諸星弾(諸星ダン)の姿に擬態して地球に滞在します。ダンは冷静で知的な性格で、人間社会に親しみを持ちつつウルトラセブンとして地球を守る姿が魅力です。第49話(最終回)では、地球防衛軍基地を破壊されたゴース星人の迫りに対してウルトラ警備隊は降伏するも、ウルトラセブンは独自に抵抗して地球を救います。最終的にはウルトラセブンは地球を去り、地球防衛軍の隊員たちはダンを送り出す様子が描かれており、ウルトラセブンと地球人の別れの美しさが物語を彩っています。このようにダンという人間的な葛藤や、正義に対する問いかけが描かれたことで、ウルトラセブンは単なる勧善懲悪ではなく“考えさせるヒーロー像”を確立した点も大きな見どころです。

ウルトラセブン(キャラクター)は、ウルトラシリーズの第2作目のヒーローであり、ウルトラマンとは異なるデザインを持ちます。頭部には武器のような「アイスラッガー」が付いており、これを投げることで敵を切断できる必殺技です。ウルトラセブンのキャラクター性は冷静で知的で、ウルトラマンにはない成熟した魅力を持っています。彼は光の国の恒点観測員であり、地球に飛来して地球防衛軍に協力することで、地球人の仲間となります。ウルトラセブンの姿は巨大化して40mになることもありますが、伸縮自在で等身大の活動も多く、細菌サイズまでミクロ化することも可能です。またテレパシーによってウルトラ警備隊の隊員と会話することもできるなど、能力の幅が広く、ウルトラシリーズにおいてもヒーローとして高い存在感を放ちます。

ウルトラ警備隊の隊員たちは、地球防衛軍極東基地に所属する特殊戦闘部隊で、隊長・キリヤマ隊長(中山昭二演)を中心に6人の隊員が活躍します。キリヤマ隊長は優しさと威厳を持って隊を率い、「何っ!?」という口癖が特徴的です。その下には、体力派のフルハシ隊員(石井伊吉演)、射撃の名手ソガ隊員(阿知波信介演)、兵器開発に長けるアマギ隊員(古谷敏演)、隊の紅一点としてメディカルセンターに勤務するアンヌ隊員(ひし美ゆり子演)など、それぞれの役割を果たすメンバーがいます。ウルトラ警備隊はウルトラセブンと共に戦い、怪事件に対応すると同時に、隊員たちの個々の性格や物語が描かれています。特にキリヤマ隊長とダンの間には親子のような関係性が描かれ、ダンはキリヤマ隊長を尊敬し、キリヤマ隊長もダンの力を信頼しています。またウルトラ警備隊の隊員たちは、ウルトラセブンが地球を去った後も地球防衛軍を支え、地球を守る道を続ける姿も物語の魅力となっています。

主要怪獣・宇宙人

『ウルトラセブン』には、様々な怪獣・宇宙人が登場します。特に第1話以降は宇宙人が主役となり、地球人の仲間を助けるウルトラセブンとの対立が展開します。以下に代表的な怪獣・宇宙人をいくつか紹介します。

  • クール星人(第1話登場) – 地球侵略を企む宇宙人で、地球人を“昆虫”と呼び数年前から地球に姿を潜めて人間を実験用の標本として集めていました。頭部には6本の腕があり、透明な円盤から人間を吸い上げる蒸発光線で人々を捕らえます。第1話ではウルトラセブンによって手取り足取り倒され、計画は打ち砕かれます。クール星人は地球侵略においてあまり力を発揮しませんが、ウルトラセブンの登場によって彼らの策略が明かされるシーンが面白く、ウルトラシリーズ初の宇宙人の陰謀劇として印象的です。
  • ワイアール星人(第2話登場) – 惑星全体が植物で覆われたワイアール星の宇宙人で、地球人を自分たちと同じ植物生命体に変えて支配しようとする野心家です。宇宙ステーションV3の隊員・石黒隊員を幽閉し、彼に擬態して地球に侵入します。夜になると本来の姿に戻り、人々に特殊な体液を注入して植物化させます。ウルトラ警備隊はパラライザー弾で怪獣・生物Xを麻痺させ、ウルトラセブンによって退治されます。ワイアール星人は植物のような異色の姿と、地球人を自分たちの種族に変えようとする野心が印象的です。
  • ピット星人(第3話登場) – 変身怪人ピット星人は、ピット星から飛来した宇宙人です。第3話では木曽谷の湖に宇宙船を不時着させ、少女の姿に変身してダンとフルハシ隊員を誘拐します。その間、ピット星人の姉と妹はウルトラアイを盗み、地球防衛軍基地の計器類を破壊します。ウルトラ警備隊はカプセル怪獣・ミクラスを出動させて怪獣・エレキングと戦い、ピット星人を退治します。ピット星人は女性の姿に変身する演出が面白く、ウルトラシリーズでは珍しい変身怪人として記憶に残ります。
  • ゴドラ星人(第4話登場) – 反重力宇宙人ゴドラ星人は、反重力技術を持つ宇宙人です。第4話では地球防衛軍の原子力船マックス号を蒸発させ、乗員を失踪させるという攻撃を行います。ウルトラ警備隊のダンとソガ隊員が調査に出ると、ゴドラ星人はホーク2号にも襲われ、ウルトラセブンによって倒されます。ゴドラ星人は頭部に6本の腕があり、反重力力場を操ることで物体を空中に浮かせたり、巨大な円盤から光線を放つことができます。このゴドラ星人はウルトラセブンとの戦いでセブンが危機に陥るシーンがあり、初回から強敵の印象を与えました。
  • ベムスター(第14話登場) – ベムスターはウルトラシリーズでも有名な怪獣で、この話ではアフリカのコンゴ川上流で巨大な石が見つかり、それがベムスターの分身だったという展開で登場します。ウルトラ警備隊のソガ隊員がベムスターに襲われ、ウルトラセブンがジャック(帰ってきたウルトラマン)に助けられる場面もあります。ベムスターはバッタのような姿で、翼から毒針を放つなど強力な怪獣です。本作では地球防衛軍基地を襲撃し、ウルトラ警備隊を西側へ追い込むものの、ウルトラセブンによって退治されます。ベムスターはウルトラシリーズでは数回登場しますが、本作でのウルトラ警備隊との対決シーンも見どころです。
  • ギエロン星獣(第26話登場) – 再生怪獣ギエロン星獣は、地球防衛軍が開発した惑星破壊用の超兵器R1号の実験によって変異したギエロン星の生物です。ギエロン星は生物がいないと判断されていましたが、実際には生物が存在しており、R1号の放射能で怪獣化して地球に飛来します。ウルトラホーク3号の新型ミサイルで一度は粉々に砕かれますが、一晩で再生して再び襲来します。ウルトラセブンに変身したダンは、ギエロン星獣に立ち向かいますが、その腕にはセブンのアイスラッガーさえも跳ね返すほどの硬さがあります。しかしセブンはギエロン星獣の片翼をもぎとり、その翼をアイスラッガーにして喉元を斬り落とし、怪獣を倒します。ギエロン星獣は再生能力を持つという特徴と、その大きな翼が印象的です。またこの話は、科学技術の暴走がもたらす危険性を描いた社会派ドラマ的なエピソードでもあり、作品の思想性を際立たせます。
  • メトロン星人(第8話登場) – 幻覚宇宙人メトロン星人は、人間同士の信頼関係を崩壊させ、互いに殺し合わせることで地球を乗っ取ろうとする宇宙人です。第8話ではある町で列車衝突事故、タンカー爆破、ライフル乱射事件など不可解な事件が相次ぎ、その犯人はメトロン星人だったと判明します。彼らはタバコに毒を混ぜ、それを吸った人々を狂わせて互いに攻撃させようとします。ウルトラ警備隊は調査の末、メトロン星人を見破り、ウルトラセブンによって退治されます。メトロン星人はチャベ台を挟んでダンと語りかけるシーンが印象的で、「人間同士の信頼関係を利用する」という彼の言葉は最後のナレーションで「え、何故ですって?我々人類は今、宇宙人に狙われるほど、お互いを信頼してはいませんから」と指摘され、現代社会における人間関係の希薄さを問いかけることになります。このエピソードは映像演出も異色で、実相寺昭雄監督による暗い照明や逆撮りなど独特の演出が特徴です。メトロン星人はウルトラシリーズでは他作品でも登場しますが、本作での恐怖と社会批評的テーマは非常に強烈です。

この他にも、第9話のチブル星人(頭脳星人)、第16話のアンノン(岩石宇宙人)、第20話のギラドラス(核怪獣)、第33話のシャドウマン(蘇生怪人)、第42話のノンマルト(海底人)、第49話のゴース星人(幽霊怪人)など、様々な魅力ある怪獣・宇宙人が登場しています。特に『ウルトラセブン』では「怪獣」ではなく侵略意図のある宇宙人が主役となるのが特徴で、これは『ウルトラマン』が「自然現象の一部として現れる怪獣」をテーマとしたのに対し、『ウルトラセブン』では明確な侵略意図を持った知的生命体との対立が物語の中心となったことを意味します。

ウルトラ警備隊と科学技術

ウルトラ警備隊は地球防衛軍の精鋭部隊であり、高度な科学技術と兵器を持っています。地球防衛軍極東基地は富士山麓の地下に建造されており、その地形や機能もウルトラ警備隊の活躍を支えています。ウルトラ警備隊には各種の戦闘機・戦車があり、そのデザインも当時の科学フィクション的な雰囲気を帯びています。例えば、ポインターはスーパーカーのような高性能車両で、ウルトラ警備隊の主要な移動手段です。また宇宙戦闘機のウルトラホーク1号~3号は、ウルトラシリーズでは定番の飛行機で、高速飛行や水中潜航、宇宙飛行が可能です。ウルトラホーク1号は基地から離陸する際にはカタパルトによって飛び出すシーンが有名で、第1話の開場ではそのカタパルト発射シーンが大きな反響を呼びました。

ウルトラ警備隊は、科学班の協力を得て様々な武器を開発しています。第1話では特殊噴霧装置を開発し、透明な宇宙船を可視化する実験を行います。また第9話では宇宙人・チブル星人のメカニコンドロイドを解析し、その弱点を見つけるなど、科学力の活用も描かれています。さらに第17話では地底戦車「マグマライザー」を開発し、地底戦闘に成功しています。これらの科学技術や兵器は、ウルトラ警備隊が宇宙人や怪獣と戦う上で不可欠な要素であり、科学班・技術班の役割も作品の中で重要です。

特にウルトラセブン自身も、地球人の知恵と技術を借りながら戦う姿が印象的です。例えば第1話ではダンがウルトラ警備隊に提案した特殊噴霧装置によって宇宙船の可視化に成功し、第8話ではアンヌ隊員がパラライザー弾を開発して怪獣を麻痺させるなど、地球人の科学技術がウルトラセブンと協力して敵を退治しています。このように、ウルトラ警備隊とウルトラセブンの協調によって地球を守る姿は、ウルトラシリーズの世界観を強調するものです。

演出・映像・音楽の特徴

『ウルトラセブン』の演出は、第1期『ウルトラマン』に比べてより洗練された映像表現が施されています。特に第8話「狙われた街」では、実相寺昭雄監督が独特の映像美を打ち出し、暗い照明や逆撮り、通常では考えられないカメラアングルを駆使しています。これらの手法は後に「実相寺アングル」と呼ばれ、ファンから大きな支持を得ています。例えばキリヤマ隊長を電話機の隙間から撮影したり、床から見上げるような極端なアングルなど、特徴的な映像表現が色々な箇所に見られます。この実相寺監督の映像表現は後の映像作家にも大きな影響を与え、特に『新世紀エヴァンゲリオン』や『シン・ゴジラ』で知られる庵野秀明監督もその影響を受けた一人とされています。

映像面では、リマスター版では前述のように高画質化が施され、1967年のテレビ映像が鮮やかに再現されています。ネガ原版からの再構成により、従来のフィルムの粒状感やモノクロ映像との差異が解消され、HDRによる色彩表現で作品の雰囲気がより際立ちます。また音声もモノラルから高品質なモノラル音声へと改善され、効果音やBGMがより明瞭に聞こえるようになっています。

音楽面では、ウルトラシリーズのテーマ曲として知られるメインテーマが使用されています。ウルトラセブンのメインテーマは「ウルトラセブンの歌」とも呼ばれ、壮大なメロディでウルトラセブンの勇気ある姿を表現しています。このテーマ曲は後にウルトラシリーズのオープニングテーマとしても広く使われ、シリーズの象徴となっています。また各話のエンディングには「ウルトラセブンの歌」が演奏され、視聴者に作品の世界を引き込む効果を発揮しています。

社会背景と時代背景の反映

『ウルトラセブン』は1967年から1968年にかけて放送された作品であり、当時の日本の社会背景や時代状況が作品に反映されています。1960年代後半の日本は高度経済成長期の真っ只中であり、戦争や核兵器への恐怖も色濃く残っていました。ウルトラセブンはその社会背景を映すように、反戦・共生・環境などのテーマを取り込み、“SFの皮をかぶった社会派ドラマ”として異彩を放っています。

第26話「超兵器R1号」は、地球防衛の名のもとに開発された惑星破壊兵器R1号が暴走する様を描くことで、単なる怪獣退治ではなく科学技術への警鐘を鳴らした有名な一話です。放送当時の核兵器開発を想起させる内容で、特撮を通じて倫理的問いを投げかけるセブンらしさが凝縮されています。また第8話「狙われた街」では、人間同士の信頼関係を壊して社会を混乱させる宇宙人の行動を描き、現代社会における人間関係の希薄さを問いかけています。第42話「ノンマルトの使者」では、海底に暮らすノンマルトという知的生命体の存在を巡り、人類中心主義の危うさを真正面から突くストーリーが展開します。この話は「地球こそが侵略者だった」という衝撃のオチで語り継がれ、人間の正義とは何かという問いが子供番組の枠を超えて視聴者に迫ります。

このように、『ウルトラセブン』は単なる娯楽作品ではなく、時代の社会問題や人間ドラマを描く社会派ドラマ的な側面を持っています。そのため当時の高年齢層にも支持され、後に「大人向けウルトラ」の原点とも称されるようになりました。

作品の文化的影響と歴史的位置づけ

『ウルトラセブン』は、日本の特撮テレビドラマの歴史において画期的な存在であり、今なお高い評価を受けています。単に子供向けの特撮ヒーロー番組ではなく、社会批判的な内容や洗練された演出で大人も楽しめる作品として成功したことが特筆されます。実際、『ウルトラセブン』は後の『帰ってきたウルトラマン』(1971年)や『ウルトラマンレオ』(1974年)などウルトラシリーズの後続作品にも影響を与え、シリーズ全体の基盤を築いたと言えます。ウルトラシリーズでは、ウルトラ兄弟の3番目にウルトラセブンが加わり、シリーズ諸作品において後発の主役ヒーローを援護する存在として出演しました。また『ウルトラマンメビウス』(2006年)以降の作品では、ウルトラ兄弟の中で伝説的存在となったウルトラセブンが「ウルトラ6兄弟」の一人にカウントされるようになり、セブンの地位が確立しました。

ウルトラセブン自身も、後年のウルトラシリーズにおいて頻繁に客演し、その存在がシリーズを統一する役割を果たしました。例えば『帰ってきたウルトラマン』第38話ではウルトラセブンがジャック(帰ってきたウルトラマン)を助けるシーンがあり、『ウルトラマンレオ』第1話ではウルトラセブンが地球を去った後にダン(諸星弾)がMAC隊長として再登場します。このようにウルトラセブンは、シリーズの物語を通じて地球を守る一貫したヒーロー像として描かれ、その名はウルトラシリーズの象徴となっています。

文化的にも、『ウルトラセブン』は子供の頃の記憶を刻む名作として多くのファンを持ち、後にアニメや映画、小説など様々な媒体で再構成されています。例えば『ウルトラセブン誕生30周年記念3部作』(1997年)や『ウルトラセブン誕生40周年記念6部作』(2007年)、『ウルトラセブン誕生50周年記念5部作』(2017年)など、シリーズのリメイク作品が制作され、ウルトラセブンの魅力が世代を超えて語り継がれています。また海外でも『ウルトラセブン』は高い評価を受け、米国では「Ultraseven」として放送されたり、フランスでもカラー版が放映されたことがあります。

以上のように、『ウルトラセブン』は単なる子供向けの特撮番組に留まらず、SF色と社会派要素が融合した名作として歴史的に位置づけられています。その高い画質のリマスター版がNHKで再放送されることで、新たな世代にもこの不朽の名作の魅力が伝わることが期待されています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました