貫井徳郎ってどういう書き手?と言うぐらいこの人のことは全然知らない。読んでまず思ったのは一生懸命に書かれていること。そして、丁寧に事件を追いかけていること。少女誘拐事件と新興宗教に勧誘される男の2本立てで話は始まる。どこかで交差するのだろうと思っていると所々に仕掛けが見え隠れする。
展開としてはドラマチックで面白いけど、手法がまどろっこしい。2つの話が同時期に起こっていることでは無いことが分かった時点で事件の輪郭が見えてしまう。最後の方であっといわせる場面が登場するが、僕にはもっと前に見えてしまった。
読み終わった後で貫井徳郎とい作家のことを調べてみたら、この『慟哭』は彼が1993年、25歳の時に発表したデビュー作という。デビューでこれだけの作品なら13年経った今はもっと凄い作家になっているかもしれないと思った。これで、次の作品を読む楽しみが増えたね。
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