製品概要と特徴
「SPEEDER NX GOLD」は、フジクラコンポジットが2025年9月4日に発売したドライバー用グラファイトシャフトです。同社の人気シリーズ「SPEEDER NX」の最新モデルであり、シリーズ史上最も高い初速と最強の弾道を実現するゴールドカラーの新モデルとして注目されています。
- カラーとデザイン: ゴールドカラーのシャフト本体にフジクラのロゴが入ったデザインで、高級感ある見た目になっています。実際、デザイン面でもベンタスシリーズに近い雰囲気があり、アドレスした際に安心感のある印象を与えます。
- 構造と技術: 「DHX」(Dual Hybrid eXtension)と呼ばれる新技術を搭載し、シャフト先端に45°以外の第2のバイアス層を新たに積層しています。これにより、従来は相反するとされていたシャフトのしなり(曲がり)とトルク(ねじれ剛性)のバランスを最適化し、「黄金比」とも言える理想的な剛性分布を実現しました。さらに、シャフト全体の剛性差を従来モデル(NX GREEN)より小さくすることでシャフトの一体感を高め、スイング中のタメ(たわみ)を作りやすくしています。結果として、シャフト先端から中間部のねじれ剛性(トルク)を高め、挙動のバラツキを抑えて安定感を向上させました。
- 性能: これらの技術により、初速と弾道を飛躍的に向上させています。スイング中の挙動が安定しつつ、飛距離性能が格段に高まりました。実際、トラックマン試打ではヘッドスピード48m/s前後でもボールスピード73〜74m/sを簡単に出し、カリーが約308ヤードに達するという驚異的な結果も報告されています。以下のグラフは、トラックマン試打で得られたヘッドスピードとボールスピードのデータを比較したものです。

- 振り心地: 「振りやすく、しっかり走る」というフィーリングで評価されています。試打者からは「変に硬いわけでもなく、心地良い振り感になる」「大型ヘッドでもヘッドがついてきて、なおかつしっかりと走ってくれる」といったコメントがあり、振り心地の良さが最大の特徴として挙げられています。また、女子プロの試合中でもシャフトを変更する選手が出ており、振り心地が非常に良いシャフトだとの声があります。
技術的ポイント(DXH、VTCなど)
- DHX(Dual Hybrid eXtension): シャフトの剛性分布を最適化する技術です。従来、シャフトを巻く際に使用するカーボンシートの角度は主に0°、90°、45°のみでしたが、DHXでは45°以外の第2の角度でカーボンシートを積層することで、シャフトの先端と手元側の剛性バランスを調整しました。これにより、シャフト先端の強さを維持しつつ手元側の剛性を適度に下げることでスイング中のため感を向上させ、結果的に初速アップと安定性の両立を図っています。この技術により、しなり(曲がり)とトルク(ねじれ)の黄金比を実現したとされ、高初速かつ強い弾道を生み出しています。
- VTC(Variable Torque Core): ねじれ剛性(トルク)を部分的にコントロールする技術で、NXシリーズ初版から搭載されている画期的なテクノロジーです。VTCはシャフトの先端部分と手元部分のねじれ剛性を独立に調整することで、振りやすさと高弾道を両立させるものです。シャフトの挙動は剛性とトルクのバランスによって大きく左右されますが、VTCにより剛性とトルクの最適なバランスを取ることで、タイミングの取りやすさと飛距離性能を同時に高めています。例えば、手元側の剛性を抑えることで振りやすさを高めつつ、先端のねじれ剛性を高めることでヘッドスピードを上げるといった効果を得ています。このVTC技術により、NXシリーズは当初から女子プロからも高評価を得、シリーズの使用率を高めていったと言われます。
女子プロゴルファーの人気度と選ばれる理由
女子プロ向けに設計されていることから、日本女子ツアーで急速に人気を博しています。2025年時点では、女子ツアーで使用するプロ選手が10名以上にのぼり、シャフトの流行を起こしています。また、フジクラのベンタスが男子ツアーで高い使用率を誇るのに対し、女子ツアーではSpeeder NXシリーズが1位の人気を誇っている状況です。

女子プロがこのシャフトを選ぶ主な理由は、「飛距離が伸びる」「振りやすく安定している」「方向性が良く曲がらない」といったポイントです。実際、多くの女子プロからは以下のような高評価の声が聞かれます。
- 荒木優奈選手(女子ツアープロ): 「2025年6月のサントリーレディス以降にこのシャフトに替えた。安定感があり、しっかり飛距離も出る。前のシャフトよりも飛んで、曲がらなくなったので替えた」と述べています。
- 桑木志帆選手(女子ツアープロ): 「前に使っていたディアマナBBは直進性も操作性も良かったが、スピンが多めでした。スピーダー NX GOLDはスピンが抑えられて強い球が出るし、ネジれない弾道になるので風にも強い。シャフトのおかげだと思う」とコメントしています。
- コーチ・吉川仁氏(女子プロ向けフィッター): 「Speeder NXシリーズはHS40〜42m/s前後の女子プロにとって非常に振りやすいので人気が高い。今回のGOLDはGREENに近いフィーリングでクセのない中調子だが、GREENよりスピード感があり、インパクトで走る感覚が強い。GREENのやさしさにVIOLETのスピード感を加えたヒットする要素がそろったシャフトだ」と分析しています。
以上のように、女子プロからは「飛ぶ」「曲がらない」「安定する」といった高い評価が寄せられており、シャフトの性能向上によって飛距離と直進性の両立が実現できたことが選ばれる理由となっています。
モデル構成(重量帯・フレックス)
SPEEDER NX GOLDは、カット前重量(バット重量)とフレックスの組み合わせで以下のようなモデルラインナップが用意されています。
- 40g台: カット前重量40g程度。フレックスはSのみ(R2はなし)。シャフト長は46.0インチ、トルク5.8°、バット径8.50mm。この重量帯は比較的軽めで、ヘッドスピードの高いゴルファー向け。
- 50g台: カット前重量50g台。フレックスはR、SR、Sがあります。シャフト長は44.0インチ(R)と45.5インチ(SR・S)で、トルク4.6°、バット径15.10mm(R)・15.15mm(SR・S)。この重量帯は一般的な女子プロの多くが選ぶ重量で、R(中調子)はやや軽め、SRは中調子、Sは硬めのフレックスとなります。
- 60g台: カット前重量60g台。フレックスはSR、S、Xがあります。シャフト長は45.5インチ(SR・S)と55.0インチ(X)で、トルク3.5°、バット径15.25mm(SR・S)・15.25mm(X)。この重量帯はより剛性が高く、ヘッドスピードがある選手や、より安定した弾道を求める選手に適しています。
- 70g台: カット前重量70g台。フレックスはS、Xがあります。シャフト長は47.0インチ(S)と55.0インチ(X)で、トルク2.8°、バット径15.40mm(S)・15.45mm(X)。この重量帯は非常に硬めで、高慣性ヘッドを持ち、ヘッドスピードが極めて高いゴルファーに向けられています。
このように、SPEEDER NX GOLDは幅広い重量帯とフレックスを提供しており、HS40m/s前後の一般女性からHS50m/s以上の高級プロまで、それぞれの体力・スイングに合わせたモデルを選べます。なお、重量分布の一例として50g台のSフレックスではカット前重量53.5g、トルク4.6°、バット径15.20mmとなっています。
プロゴルファーのコメント・実戦評価
以下に、SPEEDER NX GOLDを女子プロゴルファーや関係者が述べている実戦評価のコメントをまとめます。
- 荒木優奈選手(女子ツアー): 「このシャフトは6月のサントリーレディス以降に替えたんですけど、安定感がありますし、しっかり飛距離も出ます。前のシャフトよりも飛んで、曲がらなくなったので替えました」。安定性と飛距離向上、曲がりにくさを高く評価しています。
- 桑木志帆選手(女子ツアー): 「前に使っていた『ディアマナBB』は直進性も操作性も良かったんですが、スピンが多めでした。『SPEEDER NX GOLD』はスピンが抑えられて強い球が出るし、ネジれない弾道になるので風にも強い。シャフトのおかげだと思います」。直進性・安定性はもちろん、スピン抑制による強い飛距離と風に強い弾道を高く評価しています。
- 岡山絵里選手(女子ツアー): 未発表プロトタイプのGOLDを試打した際、「ヘッドスピードを上げやすく、タイミングも合いやすく、結果として距離が伸びました」と評価しています。タイミング感覚と飛距離向上を高く評価しています。
- 阿部未悠選手(女子ツアー): 未発表プロトタイプのGOLDを試打した際、「手元が軽く、先端が強く感じられ、結果的に距離が伸びました」とコメントしています。手元側の軽さと先端側の強さが両立して距離向上につながったという印象です。
- 神谷そら選手(女子ツアー): 未発表プロトタイプのGOLDを試打した際、「手元側の剛性が抑えられており、振りやすく、結果として距離が伸びました」と述べています。手元の剛性調整による振りやすさと飛距離向上を高く評価しています。
- 吉川仁氏(女子プロ向けフィッター): 「Speeder NXシリーズはHS40〜42m/s前後の女子プロにとって非常に振りやすいので人気が高い。今回のGOLDはGREENに近いフィーリングでクセのない中調子だが、GREENよりスピード感があり、インパクトで走る感覚が強い。GREENのやさしさにVIOLETのスピード感を加えたヒットする要素がそろったシャフトだ」。女子プロ向けに設計されていること、振りやすさと飛距離性能の両立を評価しています。
以上のように、実戦で使用する女子プロからは「安定して飛ぶ」「曲がらない」「スピンが少なく強い弾道」「振りやすくタイミングが合いやすい」といった高い評価が寄せられています。また、コーチやフィッターからも「女子プロの体力に合わせた設計」「振りやすさと飛距離性能の両立」といった好印象が伝えられています。
価格と入手方法
発売価格: 税込価格は49,500円です。これは同社の人気シャフトであるSPEEDER EVOLUTIONシリーズの最新モデル(47,300円)とほぼ同水準で、DXHやVTCといった先端技術を搭載した分、高級感のある価格設定となっています。
販売店: 全国のフジクラシャフト取扱店や、フジクラゴルフクラブ相談室(東京五反田店、中野店、木場店、名古屋店、大阪店、藤沢店など)で購入可能です。また、オンラインショップやネット通販サイトでも発売後に購入可能となっています。例えば、楽天市場では49,500円の他に「限定クーポン配布中」との表示もあり、約39,600円前後で購入できる商品もあります。ゴルフショップやオンラインストアでオーダーする際は、シャフト専用のスリーブ付きの形で提供される場合があります。
入手方法: 新製品として2025年9月以降は店頭で順次入荷が進んでおり、フジクラ公式サイトや各ショップのオンラインページでも情報が公開されています。まずは近くのフジクラシャフト取扱店にて試打・フィッティングを行い、自らのスイングに合った重量・フレックスを選ぶことが推奨されます。専門のフィッターの助言を得ながら、適切なシャフトを選択することで最大限の性能を引き出せるでしょう。
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