日本銀行が公表した資金循環統計をもとに、2025年3月末時点での家計金融資産の詳細を解説します。数字を整理しつつ、国際比較や世代別の特徴、将来シナリオについてもわかりやすく説明していきます。
家計金融資産の総額
まず、家計部門が保有する金融資産の総額は 約1,099兆円 に達しました。
この規模は世界的に見ても非常に大きく、日本の家計が依然として資産面では大きな力を持っていることがわかります。
資産の内訳
内訳をみると、日本の特徴がよく現れます。
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現金・預金:372兆円(全体の約7割)
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株式等:30.9兆円
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投資信託:8.0兆円
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保険・年金関連:▲19.4兆円(調整項目を含む)
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その他:数兆円規模
このように、圧倒的に大きいのが「現金・預金」であり、日本の家計が資産を安全志向で持っている実態が浮き彫りになります。
国際比較:日本・米国・欧州
家計金融資産の構成比を各国で比較すると、違いは明らかです。
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日本:現金・預金が約50%、株式+投信は約20%
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米国:現金・預金は約12%、株式+投信は50%以上
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ユーロ圏:現金・預金は34%、株式+投信は32%
つまり、米国は株価上昇の恩恵を強く受ける一方、日本は現金に偏りすぎてインフレや株高の波に乗りにくいという違いがあります。
世代別の特徴
世代ごとに資産・負債を見てみると、構造的な違いが見えます。
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40歳未満:平均貯蓄 867万円/負債 1,765万円 → 純貯蓄マイナス
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60~69歳:貯蓄 2,659万円/負債 270万円 → 純貯蓄大幅プラス
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70歳以上:負債をほぼ完済済み、貯蓄を取り崩して生活
つまり「若年世帯は住宅ローン中心で負債超過」「高齢世帯は資産超過」という二極構造が日本の特徴です。
シナリオ別の将来像
もし今後インフレや株価の動きが変わったら、日本の家計資産はどうなるでしょうか。3年間のシナリオ分析を簡単に紹介します。
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安定成長:米国は実質+7.9%、日本は+1.4%
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高インフレ+株高:米国は+7.4%、日本は−2.3%
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スタグフレーション:全地域でマイナス、日本は比較的小幅
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バブル→崩壊:全地域でマイナス、日本は下落幅が最も小さい
この結果から、日本の家計は「安定感はあるがリターンが伸びにくい」という特性があるといえます。
今後の課題と考え方
1. インフレ対策
現金比率が高いため、インフレ時には実質的な資産価値が目減りします。
株式や投資信託、あるいは金(ゴールド)などへの分散が重要です。
2. 分散投資
米国株を中心にリターンを狙いつつ、日本株や金、債券を「安定資産」として加えるのが効果的です。
3. 世代ごとの対応
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若年層:小口からでも投資を始め、時間を味方にする。
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高齢層:資産を減らしすぎないよう守りを重視する。
まとめ
日本の家計金融資産は世界有数の規模を誇りますが、その構造は依然として現金・預金に偏っています。このままでは、インフレや株高の局面で米国や欧州に比べて資産所得が伸びにくく、格差が広がるリスクがあります。
今後は「リスクを適切に取り入れながら分散投資を進めること」が、家計にとっても日本経済にとっても重要なテーマになるでしょう。
いかがでしたか?僕は海外投資、金投資、国内投資をしてインフレ対策をしています。
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