『VIVANT』第13話を考察。野崎の裏切りと「スネイプ先生」説

テレビドラマ

※ここから先は、『VIVANT』第13話の内容に触れています。未視聴の方はご注意ください。

前回は第11話・第12話を見た時点で、いくつかの考察を整理しました。新庄が別班5人の拉致に関わっているのではないか。東条はどこまで信用できるのか。そして野崎は、乃木たちより何を知っているのか。

第13話を見終わると、その答えが出たようで、実は問いの形が変わっただけでした。

新庄が首謀者だと思っていたら、最後に浮かび上がったのは野崎。しかも、乃木たちと一緒に砂漠を越え、第一シーズンでは何度も助けてくれた、あの野崎です。

ただ、ここで「野崎が敵だった」と決めてしまうのは早い気がします。第13話で確定したのは、野崎が裏切りに見える行動をしたこと。野崎という人物の正体まで明らかになったわけではありません。

第13話で、いったん確定したこと

まず、前回までの考察を整理し直しておきます。

長野専務は、やはり別班の人間でした。丸菱商事の専務という顔を持ちながら、東南アジア方面を統括する立場にいた。第一シーズンからずっと怪しかった人物ですが、ようやく正体がはっきりしました。

新庄はタイに潜伏し、チョッキにかくまわれていました。しかし、別班5人の拉致には関わっていない。新庄が何かを隠しているのは間違いないとしても、今回の事件の首謀者ではなかったことになります。

東条は、茨城空港の映像やノイズ処理など、情報工作に関わっていました。けれど、これも「東条が裏切り者」と断定できる材料ではありません。誰の依頼で、何のために動いたのかが残っています。

そして、ベキ脱獄時の通信記録です。和久井の携帯電話から通信が行われていたものの、実際に電話を借りて使っていたのは野崎でした。

ここはもう考察ではなく、第13話で示された事実です。

野崎は「真犯人」。でも「日本の敵」とは限らない

乃木側から見れば、野崎は別班の情報を流し、5人の拉致につながる行動を取った人物です。第14話のTBS公式紹介でも、野崎は「真犯人」と書かれています。

ところが、その目的はまだ分かりません。

野崎は日本を裏切ったのか。別の組織に潜入しているのか。誰かの命令で動いているのか。それとも、乃木たちに知らせられない大きな作戦を進めているのか。

「情報を流した人物」と「敵」は、同じように見えて同じではありません。『VIVANT』は第一シーズンでも、このズレを何度も使ってきました。乃木自身が別班を裏切ったように見せてテントへ潜入したことを思えば、野崎の行動にも別の目的があると考える余地は十分にあります。

僕はいまのところ、野崎は味方のままだと思っています。ただし、仲間を守るために何でも許される人ではなく、もっと大きな目的のためなら味方さえ売ることができる人なのかもしれません。

味方であるために、本当に仲間を売った。

そんな嫌な答えが、いちばん『VIVANT』らしい気もします。

やはり気になる「スネイプ先生」説

第13話の放送後、いちばん盛り上がった考察は、野崎を『ハリー・ポッター』のスネイプ先生になぞらえる説でした。

第一シーズンで、野崎が『ハリー・ポッター』好きだという設定はわざわざ描かれています。そして乃木は、別班を裏切ってテントへ潜入したことを野崎に知らせる暗号として「スネイプ」を使いました。

一見すると裏切り者。しかし、実際には別の使命を背負っている。

野崎とスネイプを重ねたくなるのは当然です。

さらに不自然なのが、野崎ほどの公安が、監視カメラに姿を残す形で和久井の携帯を使ったことです。消そうと思えば消せたはずの痕跡を、あえて残したようにも見える。乃木なら必ずそこへたどり着くと考え、追わせるために残した合図だったのではないか。

これはまだ推測です。ただ、野崎がうっかり証拠を残したと考えるよりは、ずっと筋が通ります。

東条は裏切ったのか

前回、東条への疑いはかなり強くなっていました。第13話で実際に情報工作への関与が分かったため、「やはり東条だった」と言いたくなります。

でも、ここも分けて考えたいところです。

東条がデジタル工作をしたことは確定。東条が野崎から指示を受けたかは未確定。東条がテント側の人間かどうかも未確定です。

東条が誰かを「ベキ様」と呼んだように聞こえた場面も、忠誠先を決める証拠にはなりません。音や言葉を拾って考えるのは楽しいのですが、観察から結論まで一気に進むと、考察が外れた時に全部が崩れてしまいます。

第13話は、東条が怪しいことを確定させた回ではなく、東条の行動と忠誠心を別々に考えなければならない回だったと思います。

外れた考察も面白い

今回、はっきり外れた考察もあります。

新庄が5人を拉致した首謀者という説は否定されました。和久井本人が電話を使ったという読みも違いました。「今シーズンの野崎は新庄の変装」という説も、二人が別々の場所で動いたことで、ほぼ成立しません。

ただ、外れたから無駄だったわけではありません。

前回の時点では、新庄のイヤホン消失や逃亡、東条の不自然な動きがきちんと材料として置かれていました。そこから疑うのは自然です。『VIVANT』の面白さは、正解だけを当てることではなく、次の一週間に「あれは何だったのか」と考え続けられることにあります。

Xの考察も同じです。人気がある説が正解とは限りません。でも、自分では気づかなかった小さな違和感を誰かが拾っている。それを読んで、もう一度本編を見直す。今回は特に、その楽しさが大きな回でした。

イスラエルと謎の女性

第13話の最後、野崎は日本を離れ、イスラエルで謎の人物と接触していました。会話はヘブライ語です。

ここから「野崎はモサドではないか」という考察が一気に出ていますが、これはまだ飛躍があります。イスラエルにいてヘブライ語を話したことは事実でも、所属組織までは示されていません。

第14話では、宮下今日子さんが演じる人物が物語に深く入ってくるようです。公式の紹介も「敵か、味方か、正義か、悪か」と、わざと立場を決めさせない書き方になっています。

この人物が野崎の協力者なのか、監視役なのか。乃木にとって敵なのか、野崎にとって敵なのか。同じ「敵」でも、誰の目線で見るかによって意味が変わります。

第13話で分かったのは、野崎の正体ではない

第13話で分かったのは、野崎が裏切り行為をしたことです。

でも、野崎が本当に裏切り者なのかは、まだ分かりません。

乃木は、野崎に裏切られたと信じている。視聴者も、いまは乃木と同じ情報しか持っていない。おそらく第14話では、野崎が何をしたかではなく、なぜそうしたのかが明らかになります。

スネイプ先生説が当たるなら、「ずっと味方でした」という単純な答えではないでしょう。乃木を守るため、あるいは日本を守るために、別班5人を本当に危険へ差し出した。正義はあっても、乃木には許せない。

野崎は善人か悪人か、ではなく、野崎の正義を乃木が受け入れられるのか。

次に見るべきは、そこだと思っています。

※本記事は2026年8月12日時点、第13話放送後・第14話放送前の情報で整理しています。考察部分は公式発表ではありません。

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