垣根涼介が書いた『信長の原理』は史実に基づきながら、信長の内面を著者なりの解釈で描いた作品だと思う。信長は尾張の織田家の長男として生まれた。この時点では天下とは程遠いところにいるが、そこから一気に天下を取るまでに行くには優れた指導力と決断力と判断力と行動力があったと思う。
『働きアリの法則』からの起用法
働きアリの法則 - Wikipedia
垣根涼介は『君たちに明日はない』シリーズで「パレートの法則」を取り上げている。本書では類似の「働きアリの法則」を取り上げ、信長がアリの生態を観察するシーンをページを割いて書かれている。
本書に書かれている信長が見つけた「働きアリの法則」は2割の積極的に働くアリ、その2割に追随して働く6割のアリ、働かない2割のアリ。これを、配下に当てはめてみるとどんなに訓練しても実践では同じように積極的に戦う2割の人、それに付いて行き戦う6割の人、戦わずにいる2割の人がいることが分かった。
信長の内面に迫った卓抜した小説
これまで、何冊もの歴史小説を読んできたので信長の人物像にはある程度の知識はあったが、なぜそういう考えに至ったのか、という部分では興味深い解釈だと思う。『光秀の定理』は著者らしいエンターテインメント色が強い作品だが、『信長の原理』は著者渾身の歴史小説だと感じた。
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