『天使の牙』と『天使の爪』は主人公が同じで先に『天使の爪』を読んでしまったので、ある程度の話はみえてしまった。主人公の河野明日香は犯罪組織の銃撃にあって死亡。しかし、一緒にいたのは犯罪組織クラインのボス・君国の愛人・はつみで彼女も銃撃を受けた。肉体を失った河野明日香、脳に銃撃を受けたはつみ。河野明日香の上司・芦田の判断により河野明日香の脳をはつみの身体に脳移植をする。そして、肉体と脳が別人の河野明日香がクラインに立ち向かう。河野明日香の恋人・仁王は明日香を失った悲しみで自暴自棄に。
死んだはずのはつみが生きていることを知った君国ははつみを取り戻そうとするが、そこに立ちはだかるのは一匹狼の仁王。仁王ははつみの脳が河野明日香だとは知らずに行動を共にする。河野明日香は仁王に本当の事を言えずに苦悩するが、一緒に行動する内に仁王の心に変化が現れる。
河野明日香は男勝りで身体もでかく女性っぽくない。はつみは誰もが振り返るような美人。その美人の身体を手に入れた河野明日香の苦悩。生まれ変わったらスタイルのいい美人になりたいというのを可能にしてしまった話だが、内容はまるっきりのハードボイルド。大沢在昌のこの手の作品は人がばんばん死んで。脇役に対する悲しみは置いてきぼりで、主人公に傾倒する。まあ、これだから一気に読めてしまうのかもしれない。
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