ダンロップドライバー進化の軌跡:2015-2024年の全モデル総覧

Golf
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  1. ダンロップ、10年間の挑戦と革新の幕開け
  2. 第1部:やさしさの深化と多様化の探求 – XXIO(ゼクシオ)ドライバー 10年の軌跡
    1. XXIO 9(ナイン)- 2015年12月発売
      1. コンセプト:「デュアル スピード テクノロジー」の集大成
      2. 技術的特徴:ヘッド重量とシャフト重心の最適化
      3. スペックと価格
    2. XXIO X(テン)- 2017年12月発売
      1. コンセプト:「TRUE-FOCUS IMPACT」- 芯で打つ科学
      2. 技術的特徴:シャフトとヘッドの相乗効果
      3. スペックと価格
    3. XXIO 11(イレブン) & X-eks-(エックス) – 2019年12月発売【ブランドの転換点】
      1. コンセプト:ブランド初の2ラインアップ展開
      2. XXIO 11(イレブン):正統進化する「やさしさ」
      3. XXIO X-eks-(エックス)初代:叩ける「もう一つのゼクシオ」
      4. キーポイント:ブランド戦略の転換
    4. XXIO 12(トゥエルブ) & X-eks-(エックス)2代目 – 2021年12月発売【空力と反発の融合】
      1. コンセプト:空力コントロールと反発性能の最大化
      2. 共通技術:ActivWingとREBOUND FRAME
      3. XXIO X-eks-(2代目)の特筆事項:待望の弾道調整機能
      4. スペックと価格
    5. XXIO 13(サーティーン) & X-eks-(エックス)3代目 – 2023年12月発売【芯の科学】
      1. コンセプト:「芯を広げる」技術と「芯に集める」技術の融合
      2. 共通技術:BiFLEX FACEとNew ActivWing
      3. スペックと価格
    6. XXIO PRIME(プライム)シリーズの系譜(2015-2025)
      1. 位置づけ:究極の飛距離を追求するプレミアムライン
      2. 進化の要点と価格帯
  3. 第2部:操作性の追求から総合性能の高みへ – SRIXON(スリクソン)ドライバー 10年の軌跡
    1. Z x45シリーズ – 2014年9月発売(2015年時点の主力)
      1. コンセプト:ヘッド体積による明確なキャラクター分け
    2. Z x65シリーズ – 2016年9月発売
      1. コンセプト:「Ripple Effect(波及効果)」- ヘッド全体のエネルギー効率最大化
      2. 技術的特徴:3つのキーテクノロジー
    3. Z x85シリーズ – 2018年9月発売
      1. コンセプト:「ドライバーを、ゼロから作り直せ。」- ブランドイメージの刷新
      2. 技術的特徴:カーボンクラウンによる飛躍的な性能向上
    4. ZXシリーズ – 2020年10月発売【革新的テクノロジーの登場】
      1. コンセプト:「驚愕の飛びとやさしさ」- REBOUND FRAMEの衝撃
      2. 技術的特徴:REBOUND FRAME(リバウンドフレーム)
    5. ZX Mk IIシリーズ – 2022年11月発売
      1. コンセプト:REBOUND FRAMEの進化とラインアップの最適化
      2. 技術的特徴:進化したREBOUND FRAMEと新モデル「LS」の追加
  4. 第3部:技術革新とブランド戦略の交差点 – 10年間の進化を横断分析
    1. 技術トレンド比較表
      1. 分析サマリー
    2. XXIOとSRIXONの棲み分けと融合
    3. 価格推移と市場価値
  5. あなたに最適な一本は? – 10年の進化を踏まえたドライバー選び
      1. ゴルファータイプ別・最適モデル提案

ダンロップ、10年間の挑戦と革新の幕開け

2015年から2024年という10年間は、ゴルフギアの進化において、まさに激動の時代であった。特にドライバー開発の分野では、素材科学の進歩、デジタル解析技術の高度化、そしてゴルファーの多様化するニーズが複雑に絡み合い、これまでにない速度で革新が繰り返された。この技術競争の最前線で、日本のゴルフ界を牽引し続けてきたのが、住友ゴム工業が展開するダンロップである。本記事では、ゴルフクラブへの探求心が旺盛な中級者から上級者、そして熱心なギアマニアを対象に、ダンロップがこの10年間に世に送り出したドライバーの進化の軌跡を、技術的特徴と価格推移に焦点を当てて詳細に解き明かしていく。

ダンロップのドライバー戦略を理解する上で欠かせないのが、その二大ブランドの存在だ。

  • XXIO(ゼクシオ):2000年の初代登場以来、「飛び、やさしさ、爽快な打球音」という普遍的な価値を追求し、日本のアベレージゴルファー市場で圧倒的なシェアを誇る国民的ブランド。その名は21世紀の王者を目指すという願いを込めて名付けられ、その期待に応えるように、14年連続で売上No.1を記録するなど、輝かしい歴史を築いてきた。
  • SRIXON(スリクソン):世界のトップで戦う松山英樹プロをはじめとするアスリートゴルファーの厳しい要求に応えるべく、操作性と高いパフォーマンスを徹底的に追求したブランド。「DEDICATED TO IMPROVING YOUR GAME」を掲げ、挑戦心あふれるゴルファーに支持されている。

この10年間は、これら二つのブランドが、それぞれのターゲットゴルファーに向けて進化を深化させる一方で、互いの技術や思想を影響させ合い、新たな領域へと踏み込んでいく興味深い期間であった。AI(人工知能)によるフェース設計の最適化、CFD(数値流体力学)解析を駆使した空力性能の追求、高強度・軽量な新素材(Super-TIX® 51AFチタン、カーボンコンポジットなど)の採用、そしてゴルファーのスイングそのものに着目した重心設計。これらの技術革新が、いかにして各モデルに落とし込まれ、パフォーマンスの向上に繋がったのか。本稿では、公式発表、製品スペック、そして市場の評価を丹念に紐解きながら、ダンロップの挑戦と革新の物語を詳述する。

第1部:やさしさの深化と多様化の探求 – XXIO(ゼクシオ)ドライバー 10年の軌跡

「ゼクシオ」というブランドは、日本のアマチュアゴルファーにとって、単なるゴルフクラブ以上の存在である。それは「やさしさ」と「飛距離」の代名詞であり、週末のゴルフを最大限に楽しむための信頼できるパートナーとして認識されてきた。このセクションでは、2015年から2025年にかけて、ゼクシオがその中核価値である「やさしさ」をいかにして深化させ、同時に細分化・多様化するゴルファーのニーズにいかに応えようとしてきたのか、その進化の軌跡をモデルごとに追っていく。

XXIO 9(ナイン)- 2015年12月発売

コンセプト:「デュアル スピード テクノロジー」の集大成

2015年12月5日に発売された9代目「ゼクシオ ナイン」は、前作「ゼクシオ エイト」で好評を博した「デュアル スピード テクノロジー」をさらに進化させることをコンセプトに掲げた。このテクノロジーの核心は、ヘッドスピードとボールスピードという、飛距離を構成する二大要素を同時に最大化する点にある。

具体的には、ヘッド軌道そのものを変えることでヘッドスピードを上げる「ヘッドスピードアップテクノロジー」と、ヘッドの反発性能を高めてボール初速を上げる「ボールスピードアップテクノロジー」の二本柱で構成される。ゼクシオ ナインでは、このアプローチをより洗練させた。

技術的特徴:ヘッド重量とシャフト重心の最適化

ゼクシオ ナインの最大の技術的特徴は、クラブ全体の重量配分にメスを入れたことにある。前作「ゼクシオ エイト」と比較して、ヘッド重量を2g重くする一方で、シャフトの重心位置をグリップ側に20mm移動させた。この「ヘッドを重く、シャフトの手元を重く(結果としてクラブ全体の重心が手元に寄る)」という設計は、ゴルファーのスイングに直接的に働きかける。

手元重心化されたクラブは、テークバックからトップ・オブ・スイングにかけて、ゴルファーが自然と深いコック(手首のタメ)を作りやすくなる。そして、ダウンスイングでは、このタメが維持されたままクラブが身体の近くを通りやすくなり、インパクトゾーンでヘッドが鋭く加速する。つまり、クラブがゴルファーに「理想的なスイング軌道」をガイドし、結果としてヘッドスピードの向上に繋がるというロジックである。重くなったヘッドは、増したヘッドスピードと相まって、ボールにより大きな運動エネルギーを伝え、ボール初速の向上に貢献する。この一連のメカニズムが、ゼクシオ ナインが謳う「飛びのパワーポジション」の実現であった。

スペックと価格

ゼクシオ ナインは、アマチュアゴルファーが無理なく振り切れる設計を徹底していた。

「ゼクシオ ナイン ドライバー』を今回試打する。アドレスすると、前作『ゼクシオ エイト ドライバー』とそれほど大きな違いは見られない。ヘッド形状はオーソドックスな丸型で、安心感がある。」

XXIO 9 ドライバー 主なスペック
発売日 2015年12月5日
ヘッド体積 460cc
標準シャフト ゼクシオ MP900 カーボンシャフト
クラブ長さ 45.5インチ
総重量 (Rシャフト) 約272g
バランス (Rシャフト) D4
発売時メーカー希望小売価格 88,000円+税

このモデルは、ゼクシオが長年培ってきた「やさしさ」の哲学を、スイングメカニズムにまで踏み込んで具現化した、まさに一つの完成形であったと言えるだろう。

XXIO X(テン)- 2017年12月発売

コンセプト:「TRUE-FOCUS IMPACT」- 芯で打つ科学

2017年12月9日に登場した記念すべき10代目「ゼクシオ テン」は、新たなコンセプト「TRUE-FOCUS IMPACT」を掲げた。これは、単にクラブの性能を高めるだけでなく、「ゴルファーが芯で打つ確率そのものを高める」という、よりユーザー側に踏み込んだアプローチである。ダンロップは、アマチュアゴルファーの打点が、スイングのばらつきによって芯からずれる傾向が強いことを徹底的に分析。その課題を、シャフトとヘッドの両面から解決しようと試みた。

技術的特徴:シャフトとヘッドの相乗効果

「TRUE-FOCUS IMPACT」を実現するための核となる技術は、以下の二つであった。

  1. スマート・インパクト・シャフト:新開発のMP1000カーボンシャフトは、剛性設計を最適化。ダウンスイング時に身体にかかる力を低減し、ゴルファーがスイングのばらつきを抑えやすくした。これにより、ヘッドが身体の近くを通る理想的な軌道を描きやすくなり、インパクト時の打点のばらつきを抑制。さらに、シャフトのしなり戻りがヘッドを加速させ、ヘッドスピード向上にも貢献した。
  2. ハイエナジー・インパクト・ヘッド:ユーザーの打点分布データを基に、フェースの反発性能が最も高くなるエリア(芯)を上下左右に拡大。これにより、多少芯を外しても飛距離ロスを最小限に抑える寛容性を実現した。

ゼクシオ テンは、このシャフトとヘッドの相乗効果により、ゴルファーが意識せずとも「飛びの芯食い体験」ができるクラブを目指した。また、前作ナインからさらに2gの軽量化(Rシャフトで約270g)を達成し、振りやすさも向上させている。この軽量化と芯の拡大は、体力に自信のないゴルファーやシニア層にとって、さらなる安心感をもたらした。

スペックと価格

XXIO X ドライバー 主なスペック
発売日 2017年12月9日
ヘッド体積 460cc
標準シャフト ゼクシオ MP1000 カーボンシャフト
クラブ長さ 45.75インチ
総重量 (Rシャフト) 約270g
発売時メーカー希望小売価格 88,000円+税

ゼクシオ テンは、クラブの物理的な性能向上だけでなく、ゴルファーのスイングという人間側の要因にまで踏み込んだ設計思想により、ゼクシオの「やさしさ」を新たな次元へと引き上げたモデルとして記憶されている。

XXIO 11(イレブン) & X-eks-(エックス) – 2019年12月発売【ブランドの転換点】

コンセプト:ブランド初の2ラインアップ展開

2019年12月7日、11代目ゼクシオの登場は市場に大きな衝撃を与えた。それは、ゼクシオが2000年の誕生以来、初めてブランドを2つのラインアップに分岐させたからである。この「リブランディング」は、多様化するゴルファーの価値観やニーズに、よりきめ細かく応えるための戦略的な一手であった。従来のゼクシオユーザーの期待に応える「ゼクシオ イレブン」と、よりアスリート志向のゴルファーに向けた新ライン「ゼクシオ エックス」の誕生は、ゼクシオブランドの歴史における重大な転換点となった。

XXIO 11(イレブン):正統進化する「やさしさ」

  • ターゲット:従来のゼクシオがターゲットとしてきた、やさしく、高く、大きな飛びを求めるアベレージゴルファー。
  • 技術:このモデルの核となるのが、新開発の「WEIGHT PLUS(ウエイトプラス)」テクノロジーである。これは、シャフト内部のグリップエンド側に重量(シリコンラバーブッシュ)を配置することで、クラブの重心を手元に引き寄せる技術。これにより、テークバック時にヘッドを支える力が軽減され、ゴルファーはより安定した理想的なトップの位置、すなわち「飛びのパワーポジション」を作りやすくなる。結果として、スイングの再現性が高まり、より速く、正確なインパクトが可能になるというメカニズムだ。
  • スペックと価格:総重量は約280g(R)と、テンよりもやや重量を戻し、安定性を重視した設計。価格は88,000円+税と、伝統的な価格帯を維持した。

XXIO X-eks-(エックス)初代:叩ける「もう一つのゼクシオ」

  • ターゲット:ゼクシオのやさしさは享受したいが、軽量すぎるクラブでは物足りなさを感じる、より体力があり、しっかり振り切りたいゴルファー。スリクソンでは少しハードに感じる層への新たな選択肢。
  • 技術:「WEIGHT PLUS」テクノロジーを同様に搭載し、スイングの安定性を確保しつつ、ヘッド設計で明確な差別化を図った。ヘッドには軽量なカーボンファイバーとチタンを組み合わせた複合構造(CFRPコンポジット)を採用。これにより生まれた余剰重量をヘッド後方に再配置することで、深重心化を達成し、高い慣性モーメントと直進性を実現した。さらに、ヘッド形状やフェースプログレッションを調整し、つかまりすぎを抑えた操作性を確保。打音もイレブンの高音で爽快な「ゼクシオサウンド」とは一線を画し、より引き締まったアスリート好みの打音にチューニングされている。
  • スペックと価格:総重量は約299g(S)と、イレブンより約20g重く設定。シャフトも専用設計の「Miyazaki AX-1」が標準装着され、しっかりとした振り心地を提供。価格はイレブンと同じ88,000円+税。

キーポイント:ブランド戦略の転換

ゼクシオ イレブンとエックスの登場は、単なるモデル追加ではない。「アベレージゴルファー」という一括りの市場ではなく、その中に存在する「楽に振りたい層」と「しっかり振りたい層」という二つの大きなセグメントを明確に認識し、それぞれに最適化された製品を提供するという、ダンロップの市場戦略の深化を象徴する出来事であった。

XXIO 12(トゥエルブ) & X-eks-(エックス)2代目 – 2021年12月発売【空力と反発の融合】

コンセプト:空力コントロールと反発性能の最大化

2021年12月11日に発売された12代目モデルは、前作の2ラインアップ戦略を継承しつつ、全く新しい技術的アプローチを導入した。そのコンセプトは、空力(エアロダイナミクス)をコントロールしてインパクトの精度を高めることと、ヘッド全体のたわみを最大化してボール初速を極限まで高めることの融合である。

共通技術:ActivWingとREBOUND FRAME

この世代の進化を象徴するのが、両モデルに搭載された二つの革新的な共通技術だ。

  1. ActivWing(アクティブウイング):ヘッドのクラウン部ヒール側に設けられた突起、通称「飛びの翼」。これはダウンスイング前半において意図的に空気抵抗を発生させる。この空力が、スイング中にヘッドが外側へ流れようとする遠心力と拮抗し、ヘッドのブレ(特にトウダウン)を抑制する。飛行機の垂直尾翼が機体の安定性を保つのと同様の原理で、ヘッド挙動が安定することで、インパクト時の打点のばらつきが改善され、フェースがスクエアに戻りやすくなる。結果として、ゴルファーのパワーをロスなくボールに伝えることができる。
  2. REBOUND FRAME(リバウンドフレーム):ヘッド全体を「軟・剛・軟・剛」の4層構造で設計する技術。具体的には、①よくたわむ「フェース(軟)」、②それを支える硬い「フェース周りのリブ(剛)」、③ボディ前方をたわませる「薄肉エリア(軟)」、④そしてヘッド全体を受け止める「後方ボディ(剛)」という構造だ。これにより、インパクトのエネルギーがヘッド全体で効率的に増幅され、ボールに伝わる。この結果、反発エリア(スイートエリア)は従来モデル比でXXIO 12が128%、X-eks-が121%にまで拡大した。

XXIO X-eks-(2代目)の特筆事項:待望の弾道調整機能

このモデルで特筆すべきは、2代目「ゼクシオ エックス」に、ゼクシオブランドとして史上初めてネック調整機能「QTS(クイックチューンシステム)スリーブ」が搭載されたことである。これにより、ロフト角、ライ角、フェース角を12通りに調整することが可能となり、より上級者やこだわり派のゴルファーが求める弾道チューニングに対応できるようになった。これは、「叩けるゼクシオ」が、スリクソンが持つアスリート向け機能を取り入れ、さらにそのキャラクターを明確にしたことを示している。

スペックと価格

XXIO 12 & X-eks- (2代目) ドライバー 主なスペック
モデル XXIO 12 XXIO X-eks- (2代目)
発売日 2021年12月11日
総重量 約282g (R) 約300g (S)
標準シャフト ゼクシオ MP1200 Miyazaki AX-2
調整機能 なし QTSスリーブ搭載
発売時メーカー希望小売価格 88,000円+税 88,000円+税

XXIO 13(サーティーン) & X-eks-(エックス)3代目 – 2023年12月発売【芯の科学】

コンセプト:「芯を広げる」技術と「芯に集める」技術の融合

2023年12月9日に発売された最新の13代目モデルは、ゼクシオが追求してきた「芯」の概念をさらに科学的に掘り下げた。コンセプトは、「芯を広げる」テクノロジーと、「芯に集める」テクノロジーの融合による「驚異の飛び」。ミスヒットに強いだけでなく、そもそも芯に当たりやすくするという、二つのアプローチをかつてないレベルで両立させることを目指した。

共通技術:BiFLEX FACEとNew ActivWing

前作の成功を土台に、キーテクノロジーはさらなる進化を遂げた。

  1. BiFLEX FACE(バイフレックス フェース):「芯を広げる」技術の核。これは、フェースだけでなく、その外周フレームの剛性を、トウ側からヒール側にかけて連続的に変化させる(フローさせる)新設計である。具体的には、トウ側でヒットした際はボディの剛性を最適化してボディをたわませ、ヒール側でヒットした際はフェース自体のたわみを最大化する。これにより、インパクトの場所に応じてヘッド全体が最適にたわみ、どこに当たっても高いボール初速を生み出す。この結果、高初速エリアは従来モデル比で「ゼクシオ 13」が125%、「ゼクシオ エックス」が143%へと劇的に拡大した。
  2. New ActivWing(ニュー アクティブウイング):「芯に集める」技術の進化形。前作のActivWingが、2段式の翼へと進化した。翼の表面積を増やすことで、ダウンスイング前半での空力コントロール性能がさらに向上。ヘッドのブレをより強力に抑制し、インパクトの再現性を高めることで、ゴルファーの打点を芯へと導く。

「ゼクシオ エックス」は、引き続きQTSスリーブを搭載し、スリクソンとのシャフト互換性も維持。「ゼクシオとスリクソンのいいとこどり」と評されるように、ゼクシオのやさしさとスリクソンの操作性を併せ持つ、独自のポジションを確立している。

スペックと価格

XXIO 13 & X-eks- (3代目) ドライバー 主なスペック
モデル XXIO 13 XXIO X-eks- (3代目)
発売日 2023年12月9日
総重量 約281g (R) 約301g (S)
標準シャフト ゼクシオ MP1300 Miyazaki AX-3
調整機能 なし QTSスリーブ搭載
発売時メーカー希望小売価格 92,400円 (税込) 92,400円 (税込)

価格が初めて9万円台(税込)に乗ったことも、技術の高度化と原材料費の上昇を反映しており、この10年間の変化を象徴している。

XXIO PRIME(プライム)シリーズの系譜(2015-2025)

位置づけ:究極の飛距離を追求するプレミアムライン

ゼクシオの歴史を語る上で、「XXIO PRIME(プライム)」シリーズの存在は欠かせない。これは、レギュラーモデルとは一線を画し、より軽量・長尺設計を徹底することで、さらなる飛距離性能を追求するシニアや、パワーに自信はないが飛距離を渇望するゴルファーに向けたプレミアムラインである。

この10年間で、PRIMEシリーズもレギュラーモデルと歩調を合わせ、進化を続けてきた。

  • PRIME (2015年モデル / 8代目):ゼクシオ8の技術をベースに軽量化・長尺化。
  • PRIME (2017年モデル / 9代目):ゼクシオ9のヘッドスピードアップテクノロジー思想を反映。
  • PRIME (2019年モデル / 10代目):ネックインセット構造などを採用し、つかまりと飛距離を両立。
  • PRIME (2021年モデル / 11代目):レギュラーモデルに先駆けて「REBOUND FRAME」を搭載し、プライム史上最高の反発性能を実現。徹底した軽量化(Rシャフトで254g)と長尺化(46.5インチ)が特徴。
  • PRIME (2023年モデル / 12代目):「ActivWing」を搭載し、長尺・軽量でもインパクトが安定する設計。4層構造ヘッドで高初速を追求。
  • PRIME (2025年モデル):2025年4月5日発売予定。さらなる進化が期待される。

進化の要点と価格帯

PRIMEシリーズの進化の要点は、常にレギュラーモデルの最新技術(REBOUND FRAME, ActivWingなど)を取り入れつつ、それを「超軽量・超長尺」という独自のフォーマットに最適化してきた点にある。シャフトは30g台、クラブ総重量は250g台という、驚異的な軽さを実現しながら、クラブとしてのバランスを保ち、振りやすさを損なわない設計が施されている。価格帯は、発売時で12万円台から14万円台と、レギュラーモデルよりも一貫して高価格帯で推移しており、そのプレミアムな位置づけを明確にしている。

第2部:操作性の追求から総合性能の高みへ – SRIXON(スリクソン)ドライバー 10年の軌跡

「スリクソン」は、長らくアスリートや上級者が求めるシャープな操作性と、風に負けない強弾道をブランドの核としてきた。しかし、この10年間でスリクソンのドライバーは劇的な変貌を遂げる。伝統的な「叩ける」性能を維持しつつ、いかにしてアマチュアゴルファーにも恩恵のある「飛距離性能」と「寛容性」を獲得し、総合力の高いブランドへと進化したのか。その挑戦の軌跡を追う。

Z x45シリーズ – 2014年9月発売(2015年時点の主力)

コンセプト:ヘッド体積による明確なキャラクター分け

2015年当時、スリクソンの主力であったのは2014年9月に発売された「Z x45」シリーズである。このシリーズの最大の特徴は、ヘッド体積の異なる3つのモデルを用意し、ゴルファーのスキルレベルや求める弾道に応じて明確な選択肢を提示した点にある。

この3モデルすべてに、ロフト角やフェース角を調整できる「クイックチューンシステム(QTS)」が搭載されており、アスリートの細かい要求に応える仕様となっていた。価格帯はシャフトにより異なるが、概ね6万円台後半から8万円台で、当時のアスリートモデルとしては標準的であった。

Z x65シリーズ – 2016年9月発売

コンセプト:「Ripple Effect(波及効果)」- ヘッド全体のエネルギー効率最大化

2016年9月に登場した「Z x65」シリーズは、「Ripple Effect(波及効果)」という新たなコンセプトを打ち出した。これは、ヘッドの各部分で生み出されたエネルギーが波のように伝わり、インパクトでその効果を最大化するという思想である。ラインアップはZ565(460cc)、Z765(445cc)、そして限定モデルのZ765 Limited(440cc)の3機種が用意された。

技術的特徴:3つのキーテクノロジー

「Ripple Effect」を実現するために、3つの主要な技術が投入された。

  1. パワーウェーブソール:ソール部分に段差をつけた波型構造を採用。これにより、従来はたわみにくかったフェース下部でも大きなたわみを生み出すことが可能になり、特にフェース下側でのヒット時における反発性能が向上した。
  2. ストレッチフレックス・カップフェース:フェースのカップ部分の巻き込み幅を拡大。これによりフェース全体の反発エリアが前モデル比で10%拡大し、オフセンターヒット時の飛距離ロスを低減した。
  3. ライトウェイトクラウン:クラウンを4g軽量化。これにより生まれた余剰重量をヘッドの最適箇所に再配置することで、慣性モーメントを向上させ、方向安定性を高めた。

これらの技術の相乗効果により、Z x65シリーズは前モデルを上回る飛距離性能と安定性を獲得。特にZ565は、アスリートモデルでありながら高い寛容性を備え、幅広い層のゴルファーから支持された。2017年には、よりつかまりを良くした「Z565 TG」モデルが追加発売され、スリクソンのターゲット層拡大への意欲が示された。 価格帯は68,000円から88,000円(税抜)であった。

Z x85シリーズ – 2018年9月発売

コンセプト:「ドライバーを、ゼロから作り直せ。」- ブランドイメージの刷新

2018年9月に発売された「Z x85」シリーズは、スリクソンの歴史における大きなターニングポイントとなった。「ドライバーを、ゼロから作り直せ。」という挑戦的なキャッチコピーが示す通り、それまでの「操作性は高いが、飛距離や寛容性は競合に一歩譲る」というイメージを覆すべく、抜本的な設計変更が行われた。ラインアップはZ585とZ785の2モデルに絞られ、両モデルともヘッド体積は460ccに統一された。

技術的特徴:カーボンクラウンによる飛躍的な性能向上

このシリーズの最大のブレークスルーは、軽量で高剛性なカーボン素材をクラウン部に広範囲に採用したことにある。これにより大幅な軽量化を達成し、生まれた大きな余剰重量をソール後方に配置。これによって、ヘッドの重心は深く、低くなり、スリクソン史上最も高い慣性モーメントを実現した。

  • Z585:より寛容性を重視したモデル。高い慣性モーメントにより、オフセンターヒットに強く、直進性の高い弾道を生み出す。多くのレビューで「優しい」「間口が広い」と評価され、アベレージゴルファーでも扱えるスリクソンとして、新たなファン層を獲得した。
  • Z785:Z585の寛容性を備えつつ、より操作性を重視したモデル。洋ナシ形状の美しいヘッドは、弾道をコントロールしたい上級者に好まれた。

このZ x85シリーズは、驚異的な飛距離性能と寛容性を両立させたことで市場から極めて高い評価を受け、「スリクソンのドライバーは飛ぶ」という新たなブランドイメージを確立することに成功した。価格帯は68,000円から78,000円(税抜)と、性能向上にもかかわらず競争力のある価格を維持した。

ZXシリーズ – 2020年10月発売【革新的テクノロジーの登場】

コンセプト:「驚愕の飛びとやさしさ」- REBOUND FRAMEの衝撃

2020年10月に発売された「ZX」シリーズは、Z x85の成功をさらに推し進め、ダンロップの技術的優位性を決定づける革新的テクノロジーを搭載した。そのコンセプトは「驚愕の飛びとやさしさ」。このモデルの登場は、契約プロである松山英樹のエピソードと共に、ゴルフ界に大きなインパクトを与えた。

技術的特徴:REBOUND FRAME(リバウンドフレーム)

このシリーズの心臓部であり、後のダンロップ製ドライバーの技術的基盤となるのが「REBOUND FRAME」である。これは、ヘッドを「軟-剛-軟-剛」の4層構造と捉え、インパクト時にヘッド全体を効率的にたわませて反発エネルギーを最大化する技術だ。(詳細は第1部のXXIO 12の項を参照)

この技術を搭載したプロトタイプを実戦投入した松山英樹プロは、2020年のBMW選手権で平均飛距離を約22ヤードも伸ばし、383ヤードのビッグドライブを記録。「今までのスリクソンのドライバーの中で、間違いなく一番飛ぶ」とコメントし、その性能を証明した。

  • ZX5:REBOUND FRAMEに加え、Z585の思想を継承した深重心設計。ソール後方にウェイトを配置し、高い慣性モーメントによる寛容性と直進性を追求。高弾道でやさしく飛ばせるモデル。
  • ZX7:浅重心設計で、操作性を重視。ソール部のヒールとトウに2つのウェイトポートを配置し、弾道調整が可能。低スピンの強弾道で、コースを戦略的に攻めたい上級者向け。

ZXシリーズは、REBOUND FRAMEという圧倒的なコア技術を得て、飛距離性能で競合他社と互角以上に渡り合えることを証明した。発売時価格は税込で72,600円から74,800円であった。

ZX Mk IIシリーズ – 2022年11月発売

コンセプト:REBOUND FRAMEの進化とラインアップの最適化

2022年11月に発売された「ZX Mk II」シリーズは、成功を収めたZXシリーズの第2世代(Mark II)として、さらなる性能向上とゴルファーの多様なニーズへの対応を目指した。コンセプトは、REBOUND FRAMEの進化と、ラインアップの最適化である。

技術的特徴:進化したREBOUND FRAMEと新モデル「LS」の追加

このシリーズでは、REBOUND FRAMEの設計がさらに洗練され、フェースの反発係数(COR)が高いエリアが前作比で10%拡大。これにより、さらなるボール初速の向上と、オフセンターヒット時の寛容性アップを実現した。

そして、このシリーズ最大の戦略的特徴が、新モデル**「ZX5 Mk II LS(ロースピン)」**の追加である。

「LS」モデルの追加は、スリクソンがツアープロやハイレベルなアマチュアの「低スピンで飛ばしたい」という強いニーズに正面から応えたことを意味する。これにより、スリクソンは「やさしいモデル」から「超ハードヒッター向けモデル」まで、極めて幅広いゴルファーをカバーする盤石のラインアップを完成させた。発売時価格は79,200円(税込)からであった。

第3部:技術革新とブランド戦略の交差点 – 10年間の進化を横断分析

これまでXXIOとSRIXON、それぞれのブランドの10年間の進化を個別に見てきた。この第3部では、視点を一段引き上げ、両ブランドを横断的に分析する。技術トレンドの変遷、ブランド間の棲み分けと融合、そして価格の推移から、ダンロップのドライバー開発戦略の核心に迫る。

技術トレンド比較表

この10年間で、ダンロップのドライバーに搭載されたキーテクノロジーは劇的に進化した。その変遷を以下の表にまとめる。

XXIO & SRIXON 主要モデル 技術トレンド比較 (2015-2025)
モデル (発売年) ブランド 反発技術 空力技術 調整機能 重心設計思想 / その他 ヘッド素材
Z x45 (2014) SRIXON カップフェース QTSスリーブ ヘッド体積別設計 (460/430/400cc) チタン
XXIO 9 (2015) XXIO カップフェース デュアルスピードテクノロジー (ヘッド重量UP, 手元重心シャフト) チタン (Super-TIX®)
Z x65 (2016) SRIXON パワーウェーブソール, ストレッチフレックス・カップフェース QTSスリーブ Ripple Effect, ライトウェイトクラウン チタン
XXIO X (2017) XXIO ハイエナジー・インパクト・ヘッド TRUE-FOCUS IMPACT (スマート・インパクト・シャフト) チタン (Super-TIX®)
Z x85 (2018) SRIXON カップフェース QTSスリーブ カーボンクラウン採用による深重心化 チタン + カーボン
XXIO 11 / X-eks- (2019) XXIO フラットカップフェース – / – WEIGHT PLUSテクノロジー, 2ライン展開 (X-eks-はカーボン複合) チタン / チタン + カーボン
ZX (2020) SRIXON REBOUND FRAME QTSスリーブ 4層構造によるボール初速最大化 チタン + カーボン
XXIO 12 / X-eks- (2) (2021) XXIO REBOUND FRAME ActivWing – / QTSスリーブ 空力と反発の融合, X-eks-に調整機能初搭載 チタン / チタン + カーボン
ZX Mk II (2022) SRIXON 進化したREBOUND FRAME QTSスリーブ LSモデル追加による低スピン追求 チタン + カーボン
XXIO 13 / X-eks- (3) (2023) XXIO BiFLEX FACE, REBOUND FRAME New ActivWing (2段式) – / QTSスリーブ 芯の科学 (広げる×集める) チタン / チタン + カーボン

分析サマリー

  • 反発技術の進化:単純なカップフェース構造から、ソール形状(パワーウェーブソール)やヘッド全体のたわみ(REBOUND FRAME)、さらにはフェース外周の剛性制御(BiFLEX FACE)へと、エネルギー伝達のメカニズムがより複雑かつ高度に進化したことがわかる。
  • 新技術の導入順:革新的な技術である「REBOUND FRAME」はSRIXON(ZX)で先に採用され、その翌年にXXIO(12)に展開されている。これは、ツアーレベルでの実証を経て、より幅広い層向けのブランドに展開するという開発プロセスを示唆している。
  • カーボン素材の普及:2018年のSRIXON Z x85を皮切りに、両ブランドでカーボンコンポジット構造が標準的になった。これにより、設計自由度が飛躍的に向上し、深重心化や高慣性モーメント化が加速した。
  • 空力と調整機能の分担:空力技術(ActivWing)はXXIOの専売特許である一方、弾道調整機能(QTSスリーブ)はSRIXONの基本機能であり、XXIOではアスリート向けのX-eks-にのみ搭載されている。これは両ブランドの基本コンセプトの違いを明確に示している。

XXIOとSRIXONの棲み分けと融合

10年前、両ブランドの棲み分けは極めて明快だった。「やさしさのXXIO」と「操作性のSRIXON」。アベレージゴルファーはXXIOを選び、アスリートはSRIXONを選ぶ。しかし、この10年でその境界線は意図的に曖昧になり、ターゲット層がクロスオーバーする領域が生まれた。

この変化を決定づけたのが、2019年の「XXIO X-eks-」の誕生と、2018年の「SRIXON Z x85」の成功である。

  • 「叩けるXXIO」の登場:X-eks-は、ゼクシオが持つ「振りやすさ」や「安定性」の根幹技術(WEIGHT PLUSなど)をベースに、スリクソンの得意領域であった「しっかりとした振り心地」「つかまりすぎない操作性」「調整機能(2代目以降)」を取り入れた。これにより、「ゼクシオは軽すぎるが、スリクソンはハードすぎる」と感じていたゴルファー層、いわゆるアベレージ上級者や向上心のある中級者にとって、待望の選択肢が生まれた。
  • 「やさしいSRIXON」の確立:一方のSRIXONは、Z x85シリーズでカーボンクラウンを採用し、慣性モーメントを劇的に向上させたことで、「寛容性」という新たな武器を手に入れた。特にZ5系譜(Z545→Z565→Z585→ZX5→ZX5 Mk II)は、代を重ねるごとにやさしさを増し、もはや上級者だけのブランドではなくなった。これにより、シングルハンデを目指す中級者や、パワーのあるアベレージゴルファーが、アスリートブランドの持つ所有感と性能を享受できるようになった。

このブランド間のクロスオーバーは、ゴルファーのスキルレベルや志向が単純な二元論では語れなくなった現代市場に対する、ダンロップの巧みな戦略的回答と言える。そして、その背景には「REBOUND FRAME」のような基幹技術を両ブランドで共有することによる、開発リソースの効率化と、グループ全体の技術力向上という狙いがあったことは想像に難くない。結果として、ダンロップはより広範なゴルファーに「最適な一本」を提案できる、強固な製品ポートフォリオを構築することに成功したのである。

技術革新は、製品のパフォーマンスを向上させる一方で、その価格にも影響を与える。この10年間におけるダンロップのフラッグシップドライバーの価格推移を見てみよう。

 

 

上のグラフが示すように、XXIOのレギュラーモデルとSRIXONの5シリーズ(寛容性モデル)の発売時メーカー希望小売価格は、10年間で緩やかな上昇傾向にある。2015年のXXIO 9が88,000円(税抜)だったのに対し、2023年のXXIO 13は92,400円(税込、税抜84,000円)と、税制の違いを考慮しても実質的な価格は維持、もしくは微増している。SRIXONも同様の傾向が見られる。

この価格上昇の背景には、複数の要因が考えられる。

  1. 新素材の採用:Super-TIX® 51AFのような高強度特殊チタンや、高品質なカーボンファイバーの使用は、原材料コストを押し上げる。
  2. 製造工程の複雑化:REBOUND FRAMEやBiFLEX FACEのような複雑な内部構造を持つヘッドは、製造に高い技術と手間を要し、製造コストの増加に繋がる。
  3. 研究開発費の増大:AIやCFD解析といった最先端技術への投資、そして度重なるプロトタイプの製作とテストには、莫大な研究開発費が必要となる。

一方で、ゴルフクラブのもう一つの側面は、中古市場における価値である。ダンロップのドライバーは、その品質と性能の高さから、中古市場でも高い人気を維持している。特に、発売から2〜4年が経過し、性能評価が固まったモデルは、コストパフォーマンスに優れた選択肢として注目される。例えば、ブランドイメージを刷新した「SRIXON Z x85」シリーズや、REBOUND FRAMEを初搭載した「SRIXON ZX」シリーズは、現在でも性能を高く評価する声が多く、手頃な価格で高いパフォーマンスを求めるゴルファーにとって魅力的な存在となっている。

あなたに最適な一本は? – 10年の進化を踏まえたドライバー選び

2015年から2024年に至るダンロップのドライバー開発の旅路は、単一の価値観を追求する時代から、ゴルファー一人ひとりの多様なスイング、体力、そしてゴルフ観に寄り添う「最適解の提供」へと大きく舵を切った10年であった。XXIOは「やさしさ」の定義をスイングそのものにまで広げ、空力という新たな武器を手に入れた。SRIXONは伝統の操作性に「飛距離」と「寛容性」という強力な要素を加え、アスリートだけのブランドから脱皮した。そして、両者の間に生まれた「X-eks-」と「ZX5」は、現代ゴルファーの複雑なニーズを見事に捉えた。

この10年間の進化を踏まえ、最後にあなたのゴルフスタイルに合わせたモデル選びの指針を提案したい。

ゴルファータイプ別・最適モデル提案

  • とにかく楽に、高く、真っ直ぐ飛ばしたいゴルファー
    迷わず最新の「XXIO 13」または前作「XXIO 12」を推奨。進化したActivWingとBiFLEX FACE(13)/REBOUND FRAME(12)が、あなたのスイングをアシストし、安定したハイドローボールで飛距離を最大化してくれるだろう。
  • やさしさは欲しいが、自分の力でしっかり振り切りたいゴルファー
    XXIO X-eks-(3代目/2代目)」が最適解。ゼクシオの安定性を基盤に、しっかりとした振り心地と調整機能を提供。アベレージからの脱却を目指す向上心のあるゴルファーに、新たな景色を見せてくれるはずだ。
  • 安定性を重視しつつ、アスリートモデルの性能と所有感を味わいたいゴルファー
    SRIXON ZX5 Mk II」または中古市場で人気の「ZX5」「Z585」がフィットする。高い寛容性と直進性を備えながら、スリクソンならではの精悍なルックスと打感は、あなたのゴルフを次のレベルへと引き上げるモチベーションになるだろう。
  • 弾道を自在に操り、コースを戦略的に攻略したい上級者
    SRIXON ZX7 Mk II」または「ZX7」があなたの要求に応える。操作性に優れ、ウェイト調整によって持ち球に合わせたセッティングが可能。意のままにボールを操る喜びを再認識できるだろう。
  • ヘッドスピードが速く、スピンを抑えて飛距離を極限まで追求したいハードヒッター
    SRIXON ZX5 Mk II LS」のためにあるようなものだ。浅重心設計が生み出す低スピン・強弾道は、あなたのパワーを余すことなく飛距離に変換する。まさにモンスターボールを生み出すための最終兵器だ。

未来に目を向ければ、AIによる完全自動設計、未知の新素材、そしてバイオメカニクスと融合したさらなるパーソナライゼーションの波が押し寄せることは間違いない。この10年間で驚くべき進化を遂げたダンロップが、次にどのような「驚き」と「快感」を我々ゴルファーに提供してくれるのか。その挑戦から、ますます目が離せない。

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