先日、「自分に合っているクラブの選び方が分からないので教えてほしい」と相談されました。いきなり相談されてもその人のスウィングや困っていることが何か分からないので、いくつか質問をした後に試打をしてもらいました。
質問の答えから考えられることは?
私 「今使っているクラブで気になるところは?」
お客様 「少しシャフトが柔らかい気がすることかな?」
私 「今の使っているクラブでボールは真っすぐ飛びますか?スライスするとかフックするとか当たらないとかありますか?」
お客様 「スライスがよく出ます」
私 「(図を描いて)打ち出したボールは、右に打ち出してスライスですか?それとも真っすぐ打ち出してスライス?または、左に打ちだしてスライスですか?」
お客様 「右に打ち出してスライスか、左に引っかけます」
ここまでの話を聞いて思い浮かぶのはスライスで悩むゴルファーの多くが当てはまる『アウトサイドインの軌道でフェースが開いているときに出るスライス』と、同じく『アウトサイドインの軌道でフェーストゥパスが0からマイナス(被る)状態になっている』引っかけが出るケースだと思いました。
そこで、実際に試打してもらいトラックマン4で球筋やクラブの軌道を確認しながら、どんなクラブが合うのか探してみました。
軌道はインサイドアウトだった
試打してもらったクラブは『スライス』が悩みの種だったので、ドローバイアス系のキャロウェイ 23ビッグバーサ フレックスSにしました。
計測してみると、軌道はアウトサイドインではなくいインサイドアウトでした。また、クラブパスは3.5ぐらいオープンで、フェースアングルは4.5ぐらいなのでヘッドの軌道に対してフェースがオープンなのでかなりの右打ちだしのスライスでした。そして、スライスしたのは本人も分かっているので、次はフェースを被せて引っかけのゴロでした。
5球ぐらい試打してもらいましたが、フェアーウェイにのったのは軽いドローがかかった1球だけで、2球はスライス、2球は引っかけのゴロでした。また、打点位置を確認するとバラバラでした。
次にトラックマンで測定した結果をもとにお客様に現状はどうなっているかを説明しました。スライスする原因はフェースが開いていることが大きな要因でした。また、スライスを嫌がるあまりフェースを閉じると左に引っかけるというのが癖でした。
このお客様はフェースコントロールが上手くいかないのが最大の要因で、どうしたらコントロールできるかですが、『いきなりフェースコントロールはできるものでなはい』です。そこで、どこにボールを打ちだしたらいいのか、どこを狙ったらいいのかをトラックマンの結果から指示をしました。インサイドアウトの軌道の場合、ねらい目としてはやや右でクラブパスよりもフェースアングルが少しかぶった状態が理想です。打点位置がバラバラなので打球方向は一定になりませんが、結果に一喜一憂しないようにとにかく狙った位置にひたすら打っていただきました。
もともとが、フェースが開き気味にインパクトを迎えてしまうのでドローバイアス系のクラブの方がフェースがいい位置に戻りやすいので結果が出るようになりました。私がアドバイスしたのは、狙う方向と狙う場所、出来るだけ同じ力感で振ることだけです。これで、狙ったところに行きやすいクラブが現状でその人に合っているクラブになります。
また、100%結果が出るクラブはありません。ドライバーを14回振って10回フェアーウェイにのるクラブがあればそれは合っているクラブと思っていいでしょう。
自分に合っているクラブの選び方が分からない人への5つのヒント
前置きが長くなりましたが、自分に合っているクラブの選び方が分からない人への5つのヒントは以下の通りです。
1.自分のスウィングの癖を知る
2.今使っているクラブよりも方向性のいいクラブを選ぶ
3.悩んでいることをネットで検索せずに客観的に誰かに見てもらう
4.試打をするときは、使ってるクラブと必ず比較する
5.欲張らない
1.自分のスウィングの癖を知る
ゴルファーのスウィングは一人ひとり違います。プロゴルファーでも同じ人はいません。これは、『文字』と同じぐらい癖が違います。ただし、上手い人は癖が似ています。また、癖が強くても個性がハッキリして再現性が高い人は上手です。アマチュアの場合は癖がある上に再現性が低いです。
クラブの軌道と言えばアウトサイドイン、インサイドアウト、ストレートの3つがあり、フェースアングルにもフック、オープン、ストレートがあり、打点位置になると真ん中、ヒール、ヒール上、トゥ、トゥ下の5つがあります。また、アタックアングルはダウンブロー、アッパーブロー、レベルの3つがあります。それぞれの組み合わせでボールの曲がりや打ち出し方向が変わってきます。
自分の現状の癖を知るためには、上記の『クラブの軌道』『フェースアングル』『打点位置』『アタックアングル』を把握するのがいいです。私は試打接客でトラックマンを使っているので、この現状を必ず説明しています。
2.今使っているクラブよりも方向性のいいクラブを選ぶ
試打した時に、今使っているクラブよりも方向性がいいクラブを選んでください。『飛ぶクラブ』の方が気持ちはいいですが、フェアーウェイにのる確率が悪い飛ぶクラブはお勧めしません。それは、試打ではどんなに曲がっても何度でも打ち直しが出来ますが、コースでは打ち直しは2回までです。曲がる回数が多くなると『曲がり』が『恐怖』になります。恐怖になるとどうなるかというと、スライスが恐怖の人は左ばかり狙い、引っかけが出ます。引っかけやチーピンが恐怖の人は右プッシュや右からのスライスが出ます。
飛ぶクラブも大事ですが、少しでも『恐怖』になることが少ない安全なクラブを使うことをお勧めします。そして、曲がることが少なくなってきたら次に方向性がいい飛ぶクラブを選んでください。
3.悩んでいることをネットで検索せずに客観的に誰かに見てもらう
自分の悩みは分かっているけど、スウィングがどうなっているのか分かっていない人は誰かに客観的に見てもらうのがいいです。できれば、弾道測定器で計測することをお勧めします。
どの協議でもプロにはコーチがついています。常にチェックをしていい状態を保てるようにしています。アマチュアでも上級者になると自分のスウィングの癖を知り、悪い癖が出ないようにチェックポイントをいくつも持っていてます。
自分よりもゴルフが上手い人が、いいコーチとは限りません。また、クラブに対する知識は自分が使っているクラブに対してはある程度は知っていると思いますが、多くのクラブに対しての知識は販売に携わる人の方があると思います。
4.試打をするときは、使ってるクラブと必ず比較する
これは大事です。必ず、使っているクラブと比較してください。というもの、試打した時は『結果が良かった』けど、実際にコースに行ったら違っていた。このようなケースが少なくないからです。
比較しないで試打をすると、使っているクラブよりも飛んでいるのか?曲がりが少ないのか?分からないからです。計測上は飛んでいたり曲がらなかったりしても、これはシミュレーション上の距離であってリアルではないからです。シミュレーションではコースでの緊張感もなければ、曲がりの恐怖もないです。また、人間は自分にとっていい結果は記憶に残り、悪い結果は見ないようにする生き物だからです。
5.欲張らない
接客をしていると、使っているクラブよりもいい結果が出るクラブが見つかったのに、「ほかになにかありますか?(もっといいものがあるはず)』という人が少なくないです。気持ちは分かりますが、ある程度の結果が得られたらそのクラブを使うのがいいと思っています。というのは、人間の欲には限りがなく、もっともっとと欲を出し過ぎると良いことがありません。
抽象的なヒントのなってしまいましたが、リアルに接客していて感じたことです。クラブ選びは難しいですが、選ぶためのポイント(現状の悩み、使いたいブランドなど)を明確にしておくといいです。
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